昨秋、死去した歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門。副題にある「芸に命を懸けた名優」の最期の日々がつづられている。
第一章は晩年の舞台や楽屋での姿などを記録したカラー写真集、第二章は雑誌『本の窓』(小学館)で連載した随筆集になっている。第三章は思い入れの深い役について語った芸談。第四章はコロナ禍の自粛期間中に描いた役者絵などの画集―と多彩な内容。
著者が生前、絵本化を望んでいたという未完成の絵本スケッチもとじ込み付録として一挙初公開。また知佐夫人が語る素顔の吉右衛門など、在りし日にどっぷり浸れる。(小学館・4950円)
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2022年9月11日 掲載
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