WOWOWでドラマ化決定 湊かなえ『落日』が文庫でベストセラー 「縦軸と横軸が見事に交差 筆力に舌を巻く」

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 10月4日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『沈黙のパレード』が獲得した。
 第2位は『本所おけら長屋(十九)』。第3位は『希望の糸』となった。

 4位以下で注目は6位にランクインした『落日』。WOWOWで連続ドラマ化が決定した湊かなえさんによるミステリー長編の文庫版。映画監督と脚本家が実際に起こった殺人事件を映画化しようと過去の出来事を調べるうちに真実を見つけ出す。湊さんは2019年刊行時のインタビューで「映画」と「裁判」というキーワードを出版社の方に提案され、実際に裁判を見学したところ《“真実と事実の違いはなんだろう”と深く考えさせられて。私の中に生まれたその思いを、この作品の一つのテーマにしようと決めました》と執筆の経緯を語っている。

 ライターの高倉優子さんは同作を著者が得意とする「イヤミス」の系譜にある作品かと思いきや、《社会問題を取り入れつつ家族の在り方を問う濃密な人間ドラマ》と紹介。《中盤から終盤にかけて、縦軸と横軸が見事に交差し、千尋と香が知りたかった真実がつまびらかになる。ちりばめられた伏線が鮮やかに回収されていくさまは痛快で、改めて著者の筆力に舌を巻いた。》と評している。

1位『沈黙のパレード』東野圭吾[著](文藝春秋)

静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された―― 容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの”沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む! ガリレオvs.善良な市民たち ”容疑者X”はひとりじゃない。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『本所おけら長屋(十九)』畠山健二[著](PHP研究所)

ついに松吉とお栄が所帯を持つことに。だが、お栄には家を飛び出して以来、絶縁している母親がいて…。笑いと涙の時代小説シリーズ。(PHP研究所ウェブサイトより)

3位『希望の糸』東野圭吾[著](講談社)

東野圭吾の最新長編書き下ろしは、「家族」の物語。 「死んだ人のことなんか知らない。 あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」 ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。 どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。 閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。 捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。 災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。 容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。(講談社ウェブサイトより)

4位『傲慢と善良』辻村深月[著](朝日新聞出版)

5位『リコリス・リコイル Ordinary days』Spider Lily[原案・監修]アサウラ[著](KADOKAWA)

6位『落日』湊かなえ[著](角川春樹事務所)

7位『小説 すずめの戸締まり』新海誠[著](KADOKAWA)

8位『百花』川村元気[著](文藝春秋)

9位『大名倒産 上』浅田次郎[著](文藝春秋)

10位『セピア色の回想録 杉原爽香49歳の春』赤川次郎[著](光文社)

〈文庫ランキング 10月4日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年10月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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