【話題の本】『山県有朋 明治日本の象徴』岡義武著

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■権力欲みなぎる政治的人間の肖像

「衆院第1議員会館、1212号室の、あなたの机には、読みかけの本が1冊ありました。岡義武著『山県有朋』です」。9月27日に開催された安倍晋三元首相の国葬で、菅義偉前首相が弔辞の中で言及したところ、ネット上などで話題となり、版元の岩波書店が急遽(きゅうきょ)、文庫版の重版を決めた。9月末までの部数は3刷、1万7000部と好調だ。

同書は昭和33年に岩波新書で刊行された明治の元勲・山県有朋(1838~1922年)の評伝。著者の岡(故人)は政治学者で東京大学名誉教授。令和元年に文庫版が刊行された。

山県は長州藩出身で陸軍卿、内務卿を歴任、首相として明治22年に第1次、31年に第2次内閣を率いた。明治政府で軍制と官僚制度の整備に努め、「山県閥」と呼ばれる勢力を形成。元老として自らの権力基盤の維持・強化につなげた。

「権力へのすさまじい執着とともに、人間臭い側面も数多く記述され、読み応えがある」とは岩波文庫の担当者。生涯の節目節目で詠んだ歌も、殺伐とした権力闘争の人生に色彩を加える。平民宰相・原敬、松下村塾でともに学んだ伊藤博文らの評伝を収めた岡の『近代日本の政治家』もおススメしたい。(岩波文庫・924円)

産経新聞
2022年10月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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