【話題の本】『「山田五郎 オトナの教養講座」世界一やばい西洋絵画の見方入門』山田五郎著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■人気美術系動画を書籍化

「ムンクの『叫び』は何を叫んでいるの?」「ドガの『踊り子』に描き込まれているオヤジは誰?」-。

あふれる知識と明快な語り口でおなじみ、評論家・編集者の山田五郎さんが、名画の気になる疑問を愉快に解説するYouTube動画「オトナの教養講座」が人気だ。昨年1月にチャンネル開設され、登録者数は現在45万人を突破。それを書籍化したのが本書だ。ダビンチからピカソ、明治日本の西洋画家まで、動画57回分が簡潔にまとめられている。

私たちはとかく芸術は至高のもので、生み出す芸術家もさぞ高邁(こうまい)な精神の持ち主だろうと思いがちだ。でもどんな天才も人間。裏切りあり嫉妬あり、ドロドロの恋愛あり。社会構造や価値観も今と全く異なっていたりする。そんな「やばい」を含めて美術を読み解く楽しさが、老若男女にウケているのだろう。五郎さんの綿密なリサーチが、美術史の通説を鮮やかに覆す回も。

時に30分を超える動画を本に圧縮しているので、情報量はどうしても少ない。ただ、年代順に掲載され、QRコードですぐに該当動画につながるのは便利だ。愛すべき聞き役の「ワダ」さんが本に登場しないのはちょっと不満。(宝島社・1760円)

黒沢綾子

産経新聞
2022年10月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。