【話題の本】『水上バス浅草行き』岡本真帆著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■3カ月で5刷 売れる歌集

《いつ何が別(わか)つのだろうエリンギは身を寄せ合って収まっている》。日常生活の〝あるある〟を切り取った短歌が、読者の孤独を癒やす。まだ固定ファンの付いていない新人ながら、3月21日の発売から約3カ月で5刷1万3000部と、第一歌集としては異例の売れ行きを示している。

発行元によると、本書の実売数は1万部を超えたとみられ、年内の増刷を計画中。収録作品の魅力は共感できる内容と韻律の美しさにあり、交流サイト(SNS)の口コミによって短歌を詠まない層にも評判が広がった。「初めて歌集を買いました」という読者が多いという。

伝統のある歌人集団「未来短歌会」出身の著者は平成元年生まれ。会社勤めのかたわらSNSを中心に多くの作品を発表し、注目を集めてきた。《ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし》。本書に収録したこの歌は、SNSで5.7万件もの「いいね」を獲得している。

歌集の多くは著者が自費で出版するが、SNSの普及に伴って短歌ブームの裾野が拡大し、売れる歌集が増えている。最近は発行部数が1万を超すものも珍しくない。本書も、そんな一冊。(ナナロク社・1870円)

寺田理恵

産経新聞
2022年10月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。