不平不満が止まらないときこそ、つい忘れがちな身近な人に「感謝する」大きな価値とは?

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不平不満が止まらないときこそ、つい忘れがちな身近な人に「感謝する」大きな価値とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』(スコット・アラン 著、弓場 隆 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、人は日常生活のなかで、とかく不平を口にしてしまいがちだと指摘しています。さまざまなことに不満を抱き、愚痴をこぼし、小言をいう人があまりにも多いと。

たしかにそうかもしれません。しかも問題は、どのような振る舞いであれ、たびたびくり返しているとそれが定着してしまうものであるという事実。

ことあるごとに不平を口にしていると、自分でも気づかないうちにいつしかそういった「姿勢」が染みついてしまいがち。したがって四六時中、文句や悪口ばかり並べる厄介な性格になりかねないわけです。

そこで本書の出番です。

目的は、つい不平を口にしてしまような状況を改善し、深い満足感が得られるように手助けをすることだそう。そしてタイトルからもわかるとおり、その根底にあるのは「感謝の心」の重要性です。

本書は、感謝の心を持つことの重要性を解く教訓の集大成である。人生のすべての分野で感謝をささげると多大な恩恵に浴する理由を説明するとともに、ふだんの生活の中で感謝の心をはぐくむ方法を紹介しよう。(「はじめに」より)

こう聞くと、なんだか難しいことのようにも感じられるかもしれません。しかしそんなことは決してなく、それどころかとても簡潔で読みやすい一冊。つまり、誰にでもすぐに理解できるであろうアプローチが貫かれているわけです。

そして著者は、「本書で学んだことについてじっくり考えれば、きっと驚くような発見につながるだろうと太鼓判を押しています。

全体をざっと通読するにせよ、一つひとつの教訓を丹念に検証するにせよ、感謝の心に秘められた魔法を活用する唯一の方法は、各章の提案を実行することである。読んで納得するだけでは十分ではない。読んで学んだことを実行して初めて成果が得られる。(「はじめに」より)

こうした考え方に基づく本書のPart 7「感謝と人間関係」のなかから、きょうはビジネスパーソンにとって重要な問題に焦点を当てた「友人や仕事仲間に感謝する」に注目してみることにしましょう。

友人や同僚は大切な存在

友人は、人生に笑いと冒険をもたらしてくれる存在。そのため親しい友人と一緒にいると、ワクワクしながら絆を深めることができることでしょう。また同じように、同僚や取引先が、仕事を手助けしてくれる大切な存在であることはいうまでもありません。

したがって重要なのは、友人や仕事仲間にも絶えず感謝の気持ちを伝えること。さまざまな立場の人たちと健全で幸せな関係を維持し、公私にわたって豊かな人生を送るためには、そういった行動が欠かせないということです。(173ページより)

友人に感謝する

もしかしたら友人は、いつも愛にあふれたメッセージを送ってもらうことを期待してはいないかもしれません。とはいえ、日ごろ大切に思っていることを伝えることができれば、当然ながら喜んでもらえるはず。

そこで著者はここで、“感謝の心にもとづく、友人を喜ばせる行動”を紹介しています。

・友人の誕生日をスマートフォンのリマインダーで設定し、その日になったらお祝いの言葉を述べる。

・友人たちのグループをつくり、お互いに近況を報告し合う。友人が特別な機会を得たら、「おめでとう、頑張って」と伝えるか、実際にそこへ行って応援する。

・定期的に友人に電話をし、じっくり話をする。

・相手がしてくれたすべてのことに対する感謝を伝えるメッセージを定期的に送る。

・少なくとも年に1回は友人にサプライズのプレゼントを贈る。

・友人に助けを求められたら、都合が許すかぎり、寄り添ってあげる。

(以上174ページより)

友人のために心を込めてすることは、それがなんであれ、硬い友情というかたちで自分自身のもとに返ってくるーー。根底にあるのは、そんな考え方であるようです。(174ページより)

仕事仲間への感謝

自分の職業人生において重要な役割を果たしてくれているのは、雇い主、上司や部下、あるいは取引先の人など。だからこそ、彼らに対して感謝の気持ちを伝える必要がある。そのような考え方に基づき、ここではその方法が紹介されています。

・仕事を教えてくれたことに対して上司に感謝の言葉を述べる。支えてくれたことに対して感謝の手紙やメールを送ってもいいし、直接お礼を言ってもいい。

・支えてくれていることに対する感謝の気持ちを同僚に伝える。

・同僚に親切なことをする。たとえば、同僚の仕事を手伝ったり、食事やお茶に誘ったりする。

・取引先への感謝の気持ちを込めてプレゼントを贈る。

(175ページより)

どれも当たり前のことであるだけに、いざ実行しようとなると、多少の気恥ずかしさを感じてしまうことになるかもしれません。

そのため躊躇してしまうということも考えられますが、それでも実際に動いてみれば、「感謝する」というシンプルなアプローチの大切さを肌で感じることができるのではないでしょうか?(175ページより)

冒頭で触れたように、著者は本書で学んだことを実行するべきだと強調しています。感謝の心を持つことを習慣にすれば、感情、思考、振る舞いに大きな変化が起こり、めざましい進化を遂げることができるだろうと。

つまり、感謝の心にはそれほど強い力が備わっているということ。本書を通じ、そのことを意識してみる価値はありそうです。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2022年10月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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