『アマゾンへ じっちゃんと』
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【児童書】『アマゾンへじっちゃんと』鳥居真知子著
[レビュアー] 横山由紀子
■若者よ、世界を見よう
主人公の健一は高校時代、祖父・じっちゃんから、人生に大きく影響を受けることになる一冊をすすめられた。作家、開高健(たけし)の紀行『オーパ!』。健一は南米アマゾン川で怪魚を追う壮大な世界に魅せられ、かの地に憧れを抱く。そんな健一に医師となりアマゾンの無医村に赴任することをじっちゃんは提案する。移民として海を渡ったじっちゃんの親友が、医療を受けられずに亡くなっていたのだった。
猛勉強の末、医学部に進学した健一。阪神淡路大震災で友人を亡くしたことをきっかけに、大学を休学してアマゾンに旅立つ。大河での釣りに奥地への探索、村人との交流など、『オーパ!』さながらの世界が展開され、ワクワクさせられる。旅で大きく成長した健一は、やがて医師となってアマゾン川支流の村の診療所に赴任し、じっちゃんとの約束を果たすのだった。
若いうちに世界を見ること、じっちゃんのように次世代に夢を託し、応援する存在になるのは意義深い。そんなメッセージが、秘境への旅情とともに伝わってくる。(海風社・1540円)
評・横山由紀子(文化部)