「みんなちがつて、みんないい。」の一節が有名な大正末期から昭和初期の童謡詩人・金子みすゞ。その詩の世界を、漫画界の巨匠がカラーイラストと文章で表現した本が文庫化された。
先の一節を含む「私と小鳥と鈴と」や教科書に掲載された「大漁」など詩21編を収録。祭りや紙風船、お手玉、木造校舎、おかっぱの少女…。なつかしい日本の風景が鮮やかに広がる。
満州から引き揚げた著者がつづる、幼い頃の体験にほろりとさせられる。詩と漫画家という組み合わせが成立したいきさつについては、漫画家の里中満智子氏が解説で明かしている。(ちくま文庫・968円)
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2022年11月6日 掲載
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