【話題の本】『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介著

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■「捨て値でも売れない」宅地の今

東京都心から千葉方面に鉄道で1~2時間。閑散とした最寄り駅に降り立ち、車でさらに10~20分。農村地帯の中でやけに目につく、朽ちた空き家や草の生い茂った空き地だらけの分譲住宅地-。

千葉県北東部、都心からおおむね60キロ圏以遠の「超郊外」エリアには、こうした分譲地が散在している。多数の家が捨て値で売りに出されているが、なかなか買い手はつかない。その中の一軒に移り住み、現況と問題点を考察する人気ブログ「限界ニュータウン探訪記」運営者の初の書き下ろしだ。

10月初めの刊行後、ネットを中心に予想を上回る好評ぶりで、たちまち3刷が決まった。やはり、関東圏の購入者が多いという。

こうした分譲地は、昭和50~60年代に中小業者が僻地(へきち)の田畑や山林を切り開いて無秩序に開発し、購入者も大半は投機目的だった。いま宅地としてみると上下水道の不備など悪条件は多いが、圧倒的な安さは何よりの魅力で、家庭菜園を営んだり小屋を自作したりと、新たな活用法を見いだす人々も現れてきたという。徹底した現場観察に基づくシビアな視点と、愛が同居した一冊。(太郎次郎社エディタス・1980円)

磨井慎吾

産経新聞
2022年11月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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