『フルベッキ伝』
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『フルベッキ伝』井上篤夫著
[レビュアー] 産経新聞社
オランダに生まれ、米国に移住、プロテスタントの宣教師となったフルベッキは幕末の日本へ。まだキリスト教禁教下で布教ができないまま、佐賀藩の致遠館(ちえんかん)や明治政府の開成学校の教師に。政治や外交の舞台裏で貢献した「お雇い外国人」の多彩な足跡を追う。
新政府で活躍する佐賀藩出身の大隈重信や副島種臣を教え、財政家として知られる高橋是清から師と仰がれた。だが特に日本の近代化において重要なのは、西洋列強との不平等条約改正を目指した岩倉使節団派遣の「事由書」。草稿の概要を起草したのがフルベッキだった。その知られざる生涯に迫った。(国書刊行会・3520円)