『中国パンダ外交史』家永真幸著
[レビュアー] 産経新聞社
日中国交正常化に伴い、中国からパンダが贈られて50年。日本でのパンダ人気は今も高いが、本書は愛らしいパンダの見方を変える。
中国政府がパンダを政治外交の手段として利用してきた歴史を概説する。中国では食肉や毛皮の利用価値が低かったパンダだが、欧米での珍獣ブームなどで近現代に入って注目度が上昇。海外での人気ぶりから中国政府はその利用価値に着目、日中戦争下では米国の支援を期待して贈呈し、冷戦期には対中経済封鎖の緩和に向け米国に揺さぶりをかけた。文化大革命時に政敵打倒の意味を込めてパンダの名前を変更したエピソードも。(講談社選書メチエ・1760円)