【産経の本】『海軍カレー物語　その歴史とレシピ』高森直史著

■戦艦大和で食べたカレーの味は？

「海軍カレー」はいつ、どのような経緯で誕生したのか。調理方法は艦によって違うのか。ちまたに伝わる「海軍がカレーのルーツ」「海軍では週末にカレーを食べていた」は本当なのか－。本書は、元海上自衛官で管理栄養士の著者が描く「帝国海軍糧食史秘話」である。知られざるカレー物語が軽妙なタッチでつづられている。

海軍とカレーにまつわるトリビアが盛りだくさんだ。戦艦「大和」ではどんなカレーを食べていたのか、カレー粉はどこから手に入れたのか、じゃがいも、にんじん、玉ねぎが材料の定番となった訳…。明治半ばまでは、カレーに長ネギが使われていたことにも触れている。ちなみに、陸軍ではカレーを「辛味入汁掛飯」と呼んでいたとか。

著者は海軍に「肉じゃが」のルーツがあることを発見した海軍料理研究の第一人者。本書では、大和で将兵が食べていた「カレイライス」を海軍最古の料理教科書によるレシピと旧軍出身者の実話に基づき再現している。お試しになりたい方はぜひ。

海上自衛隊のカレーの歴史にも１章を割いており、今に続く「海自カレー」誕生の背景がよくわかる。（光人社ＮＦ文庫・９１３円）