年商47億の社長が、自宅前にタバコの吸い殻を捨てられても怒らない理由 『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』試し読み

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 皆さんは道に落ちているゴミを、拾ったことがありますか?

 多くの方は、ボランティア活動などをしていないかぎり、自分のものではないゴミを拾うことはないのではないでしょうか。

 しかし、ゴミ拾いを続けていると、人生に魔法がかかったかのような、さまざまないいことが起こると言うのが、会社経営の傍ら、これまでライフワークとして100万個以上のゴミを拾ってきた、吉川充秀さん。

 その1つが、自分の心が上機嫌になるというもの。吉川さんの著書『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』より、その一部を抜粋して紹介します。

落ちているゴミを、どう捉えるか?

 最近はゴミ拾いがちょっとしたブームです。新聞やニュースを見ると、ゴミ拾いのニュースがよく出てきます。

 地元の地方新聞を読むと、クリーン作戦で里山をゴミ拾いしたとか、テレビのニュースを見ると、ビーチクリーンや海洋を汚染するマイクロプラスチックゴミがよく話題になっています。

 しかし、それを伝える論調は多くの場合、同じです。

「ポイ捨てをやめよう。自分たちの環境、地球環境を守ろう」です。

 私の経験上、ボランティアで、ゴミ拾いや掃除をしている人たちは、世のため人のために貢献するような、高潔な人が多いように思います。

 さて、ボランティアで、ゴミ拾いをすると、多くの人が「まったく、こんなところにゴミを捨てやがって」と憤りを感じやすくなります。

 私の会社の従業員さんも、お店の周りや近所を定期的に自発的にゴミ拾いすることがありますが、彼らの日報を読むと、「しかし、タバコの吸い殻が多い。喫煙者のマナーは、なんとかならないものか」という正論を語る意見が散見されます。

 一方、私は違います。ある時、私の自宅の玄関前に、妻曰く「ケンカを売った」かのように、タバコの吸い殻や食べ物の包装紙が数日間続けて落ちていたことがあります。当然、妻は激おこぷんぷん丸です(笑)。

 もし私だったら?「自分の出番だ」と感じます(笑)。そしてただ、淡々とゴミを拾う。

 もちろん、経営者なので、ふっと考えたりはします。「あれ? 人に恨まれるようなことをしたかな?」とか。でも、心あたりもないので、最終的にはこんな風に楽しく思い込みます。「私がゴミ拾いが好きなのをわかっていて、誰かが私を楽しませるために、置いてくれたのね、ありがとう♪」と。

 そう考えると、捨てた人にすら愛着を感じるようになるから不思議です♪

ジャッジをしなければ、心が穏やかになる

 24歳から24年間、競争社会のまっただ中で、たたき上げで経営業をしてきました。社長の日常の仕事は、決定業です。いろいろな経営の課題を、損得や善悪や経営理念を基準に意思決定をしていきます。つまりは、ジャッジ(判断)です。

 ジャッジとは、まさにその言葉の通り、裁判官が判決をくだすかのごとく、意思決定をしていくことです。従業員さんの人事評価で、ABC評価をする、賞与額や昇給額を決める、出店場所を決める、方針を決める、売り値を決める……経営業は、まさにジャッジの連続です。

 さて、ジャッジばかりで仕事をしていると、プライベートにもその弊害が及ぶことがあります。社長として、従業員さんからの報告には、「結論ファースト」と言ってきました。そのほうが、ジャッジが早くできるからです。それを、ついつい家庭で妻にも求めてしまうのです(苦笑)。

 昔は、妻のとりとめもない話に「結論は?」とか「何が言いたいの? 要件だけ言って」と冷たく返す始末。当然、夫婦関係にも亀裂が入ります。妻は「家庭は、仕事じゃないんだよ!」と言って、これまた激おこぷんぷん丸になります(苦笑)。

 現在の私の基本方針は、経営や仕事ではジャッジをするが、プライベートの日常ではジャッジをしない。

 これは簡単なようで、結構難易度が高いのですが、私はすんなりとできるようになりました。それは、ゴミ拾いを続けてきたからです。

 ゴミ拾いでは、歩く道々に次々とゴミが現れてきます。それを一つ一つ「これは拾う、これは拾わない」というジャッジは基本的にしません。

 落ちているゴミを、ジャッジせずにただ淡々と拾うのみです。実は、ゴミ拾いを続けることで、「ノージャッジ」の習慣を手に入れることができます。すると、平時がノージャッジになり、非常時のみジャッジするというスタンスになります。

 私で言えば、プライベートや家庭、そして会社でも基本的には、ノージャッジ。そして、求められた時のみ、ジャッジをする。すると、心に裁判官がいないので、多くの時間を穏やかに過ごすことができるようになります。つまり、心の針が不機嫌に振れにくくなるのです。

ジャッジしなければ、問題が問題でなくなる

 ジャッジする人の口癖は、どんなものでしょうか? 代表的なものが、この二つです。「は?」「なんで?」。

 一方、日常的にゴミ拾いをしている私には、ゴミを見るたびに「は?」も「なんで、自分が拾うんだ?」という問いも、一切ありません。つまり、ゴミ拾いを通じて「は?」と「なんで?」を捨てやすくなるのです。

 日常でジャッジをしなくなると、多くの人が「問題」と思っている「問題」が、「問題」でなくなり、心が穏やかになります。特に他人の人生に首を突っ込むことが減ってくるので、他人の不機嫌のエネルギーに、自分のエネルギーを持って行かれることが減ります。

「その人の人生は、その人の人生」だと相手を尊重して、意図してノージャッジで、自分の上機嫌に集中する。ゴミ拾いをすると、そんな心持ちに一歩でも二歩でもきっと近づけるようになるかもしれません♪

続きは書籍でお楽しみください

吉川充秀(よしかわ・みつひで)
ゴミ拾い仙人、株式会社プリマベーラ会長兼CGO(最高ゴミ拾い責任者) 1973年、群馬県生まれ。横浜国立大学卒業後、地元のスーパーに入社。1998年、群馬県太田市にて「利根書店」オープン。 開業後、半年で月商1000万円のドル箱店に。26歳で高額納税者入り。2005年、古着、貴金属、バッグ、家電などのリサイクルを中心に事業領域を拡大。2015年、整骨院事業に参入。2022年現在グループ全体で4事業部17業態51店舗を運営。25期連続増収、13期連続増収増益、11期連続過去最高益。 利根書店は同業種で売上高営業利益率日本一(2022年)。古着の「ドンドンダウン」「ベクトル」は売上高、全国ランキング1位を合計37回獲得。2014年、チャットワークアカデミー社による社員満足度調査で、中小企業社員数50名以上の部で全国1位。また、経営術や自己啓発のセミナー事業も展開。経営計画発表会は、全国から80社以上の経営者が見学に来社する。 ライフワークはゴミ拾いであり、これまで国内外で拾ったゴミは100万個超。地元では「ゴミ拾い仙人」として知られ、市長のTwitterにも登場するほど。このゴミ拾いこそが、自身の成功の最大要因であることから、ゴミ拾いの魔法の伝道師として、現在、全国で講演活動を行っている。

あさ出版
2022年12月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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