【話題の本】『人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』篠田謙一著

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■ノーベル賞で注目、人類学の最前線

われわれ現生人類は、どのように世界に広がったのか。日本列島にはいつごろたどり着き、どんな過程を経て現在の日本人が形成されたのか。近代以降、文系理系交えて諸説紛々だった分野に、どうやらある程度の決着が付きつつあるようだ。

今世紀以降のDNA解読技術の進歩により、古人骨から引き出せる情報量は飛躍的に増大した。そうした手法を駆使する分子人類学の第一人者が、現時点で判明している最先端を平易に解説したのが本書だ。

2月に初版1万2000部で始まり、9刷6万9000部。特に10月、ゲノム(遺伝情報)解析技術で古人類学の発展に貢献したスバンテ・ペーボ氏がノーベル医学・生理学賞を受賞したことが弾みとなり、直近2カ月で4万部強を増刷したという。

絶滅したネアンデルタール人は現生人類と交雑し、われわれの隠れた祖先となっていた。ヨーロッパ人の肌が白くなったのは、せいぜいここ5000年ほどのことだった。縄文人は遺伝的に均質な集団でなく、縄文人と弥生人の2項対立図式を前提にした「二重構造モデル」は見直しを迫られている…。従来の歴史や文明像に再考を促す知見が満載の、実りの多い一冊だ。(中公新書・1056円)

磨井慎吾

産経新聞
2022年12月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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