【児童書】『人類の物語Ｕｎｓｔｏｐｐａｂｌｅ　Ｕｓ　ヒトはこうして地球の支配者になった』ユヴァル・ノア・ハラリ著、リカル・ザプラナ・ルイズ絵、西田美緒子訳

■未来は変えられる

人間が地球の支配者に登り詰めるにあたって、最も重要だった力は何か。火薬、製鉄法、航海術、農耕技術…。さまざまな回答があり得るだろう。だが本書の著者は、そうした発明の前提となる力があったと指摘する。それは「じっさいにはないことを考えだす力、あらゆる種類の空想上の物語を語る力だ」。

約５万年前、人間の脳に生じたこの認知能力の変化が、並み居る大型動物やネアンデルタール人などの強力なライバルを圧倒する力となった。神話など団結の核となる物語を作り、みなで信じることで、人間は旧人類には不可能だった巨大社会を形成し、複雑な事業の数々を成し遂げてきた。そして会社や貨幣など、物語の利用は現代でも本質的に変わっていないのだ。

世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者が、自作のエッセンスを分かりやすく説く。物語は永久不滅ではなく、信じる物語を変えることで人間は柔軟に力の方向を修正できる。だから未来は変えられる、という子供たちへのメッセージは力強い。（河出書房新社・１７６０円）

磨井慎吾

• 河出書房新社
• 磨井慎吾
• ユヴァル・ノア・ハラリ
• 西田美緒子
• 人類の物語 Unstoppable Us ヒトはこうして地球の支配者になった
• リカル・ザプラナ・ルイズ

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