【話題の本】『１０２歳、一人暮らし。　哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』石井哲代、中国新聞社著

■ご機嫌に老いるために

広島県尾道市の山あいの町で畑仕事をしながら一人暮らしを続ける哲代おばあちゃん、１０２歳。〝人生１００年時代のモデル〟として地元紙が密着記事を連載すると、「こんなかわいいおばあちゃんになりたい！」と大評判となり、このほどまとめて書籍化された。

「広島を中心に全国で売れ、４刷が決まりました」と文芸春秋の担当編集者。「『同じ一生なら機嫌よう生きていかんと損じゃ』など、哲代おばあちゃんの言葉は名言だらけで読むと元気がもらえる。でもただ明るいだけじゃなく、『弱気の虫にやられてしまう』『若い頃は悩みや葛藤を抱えて、そりゃあ、とがっとりました』など、ありのままの自分の内面や過去も告白し、そうした部分も含め『自分を丸ごと好きになる』ことが大事だと教えてくれます」

小学校教員として長年児童たちの成長を見守ってきた哲代さん。２０年前に夫は他界、子供はいないが、親戚やご近所に支えられながら自分らしく暮らしている。なかなか出来ることではないが、「ご機嫌に老いるためのヒント」は〝人生の後輩〟として参考になる。表情からしぐさまで、哲代おばあちゃんがとにかくチャーミングな一冊。（文芸春秋・１５４０円）

黒沢綾子