【産経の本】『朝日新聞血風録』稲垣武著

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■元朝日記者が告発する「傲慢体質」

元朝日新聞記者の著者が「大新聞朝日」に巣くう“病根”の数々を痛憤の思いでつづった告発記。平成8年に文庫化されたのち絶版となり、入手困難だった名著が復活した。

朝日新聞の報道姿勢で最も問題なのは、共産圏、特に中国・ソ連・北朝鮮に対する甘さと、自由主義圏、ことに米国や韓国に厳しい二重基準が明確に存在していたことだと著者は言う。社説や論評だけでなく、読者の判断材料となるべきニュースまでその二重基準が入り込むと、情報操作に等しくなってしまうからだ。

著者は『週刊朝日』デスク当時、中国の文化大革命についての報道で言論弾圧に等しい仕打ちを受け、朝日新聞連載「ソ連は『脅威』か」の内容を批判するコラムを掲載して更迭される。朝日は、半世紀前も「朝日」だったのだ。閑職へと追いやられたものの、持ち前の行動力で作った本がベストセラーになる話は痛快だ。そして朝日の体質であるエリート意識から来る「一種独特の傲慢さ」は変わっていないと言い切る。

新装版の解説は元産経新聞記者の高山正之氏。「朝日はなぜこうも己の思いに固執し、そのためなら嘘もいとわないのか」との同氏の疑問に、本書は見事に答えている。(産経NF文庫・1080円)

産経新聞
2023年1月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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