「そろそろいい歳」なアラサー女子が年中無休でモヤモヤする理由とは

インタビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

そろそろいい歳というけれど

『そろそろいい歳というけれど』

著者
ジェラシーくるみ
出版社
主婦の友社
ISBN
9784074539604
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

「そろそろいい歳」なアラサー女子が年中無休でモヤモヤする理由とは

[文] Book Bang編集部


焦ってしまうのにはワケがあった

「あなたもそろそろいい歳なんだから……」。親や親戚、上司から一度は言われたことがあるこのセリフ。特に、30歳に差し掛かったアラサーの女性は「結婚」「出産」とのセットで言われることが多く、呪詛のように感じる方もいることだろう。
 この令和の時代に“いい歳”だから何だというのか。結婚をしなくても幸せに生きていけるし、出産だって自分のキャリアを見据えたタイミングで準備を始めればいい。……そう思っているはずなのに、アラサーになると得体の知れない焦燥感に駆られてしまう。

 今、そんな女性達の絶大な支持を集めているのが、東大卒で元港区女子の「ジェラシーくるみ」だ。自身もアラサーだというくるみさんは、夜の街で過ごした経験を活かし“夜遊びコラムニスト”として活動をしている。初の著作『恋愛の方程式って東大入試よりムズい』(主婦の友社)は、SNSで大反響を呼びAmazonのレビューが350件以上も投稿され、恋に悩む10~20代女性たちの“参考書”となってきた。

 最新作『そろそろいい歳というけれど』では、充実した日々を過ごしているものの人生に進捗が欲しくなってきたアラサーの女性に向けて、女性が直面する様々な危機や葛藤を乗り越えてこっそり幸せになる方法を紹介している。
 アラサー女性が直面する危機や葛藤とは何か。著者本人に解説してもらった。

“人並みの幸せ”を手に入れるのって、無理ゲーじゃない!?


決して不幸なわけではないのに…

――本書では、仕事やプライベートが充実している人でも、アラサーになると将来への不安に襲われると述べていますが、どういうことでしょうか。

くるみ:仕事に慣れて、自立した独身ライフを謳歌し始めた26歳あたりで私たちは気づくんです。“人並みの幸せ”を手に入れるのって、無理ゲーじゃない!?って。

周りでは第一次結婚ラッシュが訪れるなか、自分の結婚のタイミングもまだ見えない。転職や留学、資格取得などキャリアアップに勤しむ友人もいるのに、自分は社会人3年目あたりから成長が止まったように思える。
決して不幸なわけじゃないのに、「私このままでいいんだっけ」と自分の足場がグニャリとゆがんでしまうような。そんな不安に駆られてしまうんです。

――たしかに、20代後半は転職や結婚などのライフイベントが重なる時期ですね。

くるみ:しかもタチが悪いことに、将来は見えないくせに、自分の人生の限界というか“閾値”みたいなものが予想できてしまうんですよね。

今の会社で頑張れたとして、まあ40歳くらいで管理職かあ……結婚して子どもを産んだとして、パートをしながら育児に翻弄される日々かあ……とか。

今後の人生の枝分かれの先が想像できてしまう。

年齢を重ねるにつれ、自分の選択肢がどんどん狭まっていくような強迫観念があり、自分の人生の可能性を数え上げて「まあ私なんてこんなもんか」ってうっすら失望することが増えてくるのです。

「中年の危機」だけじゃない!アラサーを襲う「クオーターライフクラスシス」

――なるほど。年齢を重ねるにつれ、自分の選択肢が狭まったように思えて落ち込む感覚はよく分かります。それが、アラサーになると迷走する一因になるのでしょうか。

くるみ:ええ。仕事や育児が落ち着いた50歳前後のアラフィフの人たちが、自分の人生に対して「本当にこれでよかったのか」「これが自分のなりたかった大人だろうか」と悩んでしまう不安のことを「ミッドライフクライシス(中年の危機)」と言いますよね。

実は、20代後半~30代前半でも同様の不安を抱く「クオーターライフクライシス(QLC)」というものがあります。


アラサーにも危機が…(『そろそろいい歳というけれど』より抜粋)

 特に恋愛に関しては、学生の頃までと違い、結婚と密接に混ざり合うものとして目の前に降りてきます。「結婚」はイベントでもロマンスでもなく日常ですからね。
子どもがほしい人は、出産・育児のタイミングから逆算して、いつまでに結婚するか、いつまでにキャリアアップの目処をつけるかのパズルに取り組むことになる。
そもそも「私って子どもがほしいんだっけ」という問いかけから始まるわけですが、これがまた難しい。いつまで経っても、ブンブン頭を振っても、一向に答は出てこない。
自分の体のこと、キャリアのタイミング、育児の大変さ、お金、とにかく変数が多すぎる。

QLC地獄のなかには「本人は正解を探し回っているつもりなのに、周りから見るとただの思考停止」に陥ってしまうケースもあります。

たとえば「もっといい人いるかも症候群」。
長年付き合っている彼氏がいながらも、ずっと二年ほどフィールド(合コン)やアプリで婚活を続けていて、いまだに誰が“一番いい”のか決めかねている友人もいますね。

出産した友人との関係断絶に本気で落ち込んだけど……


友人を失うのは結構キツイ

――本書では、くるみさんが実際に体験したり取材した実例が多数紹介されていて、SNSで読者から共感の声が寄せられていますね。

くるみ:特に、出産して母になった友人と関係が断絶してしまった実体験を書いた章は反響が大きかったですね。「女友達はライフステージが変わると疎遠になる」という定説を初めて体感しました。

 読者からも、育児をきっかけに友人を失ったという声が多く届きました。ライフステージが変わった友達と今まで通り一緒に過ごしていくのはとても難しいことだと感じます。
よく女性の人間関係は「独身と既婚」、「子なしと子あり」で対比され、「幸せマウンティング」と揶揄されますが、それは少し違うかなと。
共有できなくなったのは幸せではなく苦しみです。生活時間や日々の優先順位が異なるだけでなく、これまで通じ合えていたお互いの苦悩や痛みを共有できなくなる。
だから、ある時期における友人との離別は避けて通れないことだと、覚悟しておいた方がいいかもしれません。

 でも、友人と離れるのは辛いことばかりではないと思っています。自分の人間関係に代謝が起こり、新しい友人ができることもあります。「学生時代からの友人は特別だよ」と言われ続けてきましたが、実際は心がけ次第で社会人になってからでも大事に思える友人は作れるじゃないですか。

 それに、女性の先輩方が言うように、一度友人関係が途絶えても長い人生のどこかで合流できると思っています。それがいつのタイミングになるかは分かりませんが、そう信じていれば救いになると思うんです。

 まだまだ女性にとって生きにくい世の中だからこそ、『そろそろいい歳というけれど』で紹介される女性達の様々な悩みや、それに対するくるみさんの“最適解”な回答が効いてくる。卵子凍結などの不妊治療や、資産形成についての実用的なアドバイスもなされているため、アラサー女性必読の一冊だ。

Book Bang編集部
2023年2月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク