現役書店員作家が芥川賞を受賞 自分の作品を出版社から持ち帰り書店で販売![文芸書ベストセラー]

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 1月31日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『荒地の家族』が獲得した。
 第2位は『審議官-隠蔽捜査9.5-』。第3位は『いずれ最強の錬金術師? 14』となった。

 今週1位の『荒地の家族』と8位の『この世の喜びよ』は1月19日に発表された第168回芥川賞受賞作。4位の『しろがねの葉』は同日発表された第168回直木賞の受賞作。直木賞は小川哲さんの『地図と拳』(集英社)も受賞している。

 1位の『荒地の家族』は現役の書店員で作家の佐藤厚志さんの作品。東日本大震災によって妻を失った造園業の男性が主人公。生活を立て直そうとするも沼のような無力感に囚われ身動きが取れない。震災後10年を経ても癒やされない喪失感を描く。

 佐藤さんは仙台駅前にある「丸善仙台アエル店」で働く現役の書店員。受賞直後の取材対応を終えると20日夜には版元の新潮社に残っていた自著の在庫35冊を抱えて仙台へ舞い戻り、21日午後には店頭に立っていた。新潮社のメディア「デイリー新潮」では佐藤さんが仙台へ戻る様子や、出社した途端クラッカーとくす玉で祝福を受ける姿がリポートされている。

 佐藤さんの勤める丸善グループでは受賞を記念しサイン会が行われる。日時は2月23日(木・祝)14:00~。会場は東京都千代田区の丸善・丸の内本店2F特設会場。詳細はhontoHPに。

1位『荒地の家族』佐藤厚志[著](新潮社)

元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。(新潮社ウェブサイトより)

2位『審議官-隠蔽捜査9.5-』今野敏[著](新潮社)

米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁に呼び出された竜崎伸也。審議官からの追及に、竜崎が取った行動とは――(表題作)。竜崎の周囲で日々まき起こる、本編では描かれなかった9つの物語。家族や大森署、神奈川県警の面々など名脇役も活躍する、大人気シリーズ待望のスピンオフ。本書のための特別書き下しも収録!(新潮社ウェブサイトより)

3位『いずれ最強の錬金術師? 14』小狐丸[著](アルファポリス)

シリーズ累計80万部突破!!異世界に転生して、女神様から万能の錬金術スキルを与えられた僕、タクミ。衝動に駆られて騎士団を作った僕の悪い予感が当たった。大陸中央で黒い魔物が溢れたらしい。魔物氾濫の中心地には邪精霊アナトの御子――バールとその強力な部下達の姿が。自らの運命を嘆くバールは盛大な自殺と称し、多くの人間を殺そうとしてるって……僕が絶対止めてやる!(アルファポリスウェブサイトより)

4位『しろがねの葉』千早茜[著](新潮社)

5位『不死王はスローライフを希望します 4』小狐丸[著](アルファポリス)

6位『余りモノ異世界人の自由生活 勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます 5』藤森フクロウ[著](アルファポリス)

7位『素材採取家の異世界旅行記 13』木乃子増緒[著](アルファポリス)

8位『この世の喜びよ』井戸川射子[著](講談社)

9位『#真相をお話しします』結城真一郎[著](新潮社)

10位『名探偵のままでいて』小西マサテル[著](宝島社)

〈文芸書ランキング 1月31日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年2月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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