【話題の本】『パンどろぼう』柴田ケイコ作

■大人にも人気、シリーズ累計１７０万部

大人もはまると評判の絵本シリーズ「パンどろぼう」の快進撃が止まらない。令和２年４月に第１作『パンどろぼう』を刊行。取次大手の日販が発表した昨年のベストセラーでは、児童書部門の１０位以内に同シリーズの絵本４冊全てが入った。

昨年は、絵本に登場するパンのレシピ本や、作者インタビューなどを収録したムック本も発売された。版元によると、累計発行部数は今月時点で１７０万部に上る。児童書市場は少子化と出版不況の中でも長期的な拡大傾向にあり、要因の一つとされるのが大人の読者への広がり。同シリーズもそうした作品で、４年版「出版指標年報」（出版科学研究所）によると、第１作がＳＮＳ（交流サイト）やメディアで紹介され、読者が大人に拡大したという。

食パンにふんした主人公は、ユーモラスな表情が魅力的なキャラクター。各地の書店でグッズも並べたフェアが開かれているので、目に留めた人も多いだろう。第１作の表紙絵は、フランスパンを担いで走る食パンのおちゃめな目つきや食べたくなる色合いが印象的だ。３歳以上が対象の分かりやすいストーリーだが、意表を突く展開に親子の会話が弾むかもしれない。（ＫＡＤＯＫＡＷＡ・１４３０円）