村上春樹短編集『一人称単数』は「老いて記憶と向き合うこと」について考えさせられる短編集 南沢奈央が語る[文庫ベストセラー]

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 2月14日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『一人称単数』が獲得した。
 第2位は『カケラ』。第3位は『三千円の使いかた』となった。

 1位の『一人称単数』は村上春樹さんの短編集。2020年7月に発売された単行本の文庫版。収録された8作品はいずれも一人称視点で描かれ、主人公が過去の記憶を辿ることでも共通している。俳優の南沢奈央さんは読売新聞の書評で同書の8編を読むと記憶や思い出すことの意味を《考えずにはいられない》と感想を述べる。記憶は夢であり虚像のような曖昧なものではあるが、《そんな不確かな記憶でさえも抱え続ける意味や価値は、“老いて記憶と向き合うこと”で初めて見えてくるのかもしれない》と考察。さらに一人称で語られた記憶を追体験することで、《今後の人生で幾度も、まるで自分の体験のようにして思い出すことになるだろう》と同書のもたらす影響について述べている。

1位『一人称単数』村上春樹[著](文藝春秋)

「石のまくらに」「品川猿の告白」など全八作からなる短篇小説集(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『カケラ』湊かなえ[著](集英社)

美容外科医の橘久乃は幼馴染みの志保から「痩せたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言と、見え隠れする自己正当化の声。有羽を追いつめたものは果たしていったい??。周囲の目と自意識によって作られる評価の恐ろしさを描くミステリー長編。(集英社ウェブサイトより)

3位『三千円の使いかた』原田ひ香[著](中央公論新社)

「人は三千円の使いかたで、人生が決まるよ」突然の入院、離婚、介護費用……。一生懸命生きるあなたのための「節約」家族小説!〈解説〉垣谷美雨(中央公論新社ウェブサイトより)

4位『シャイロックの子供たち』池井戸潤[著](文藝春秋)

5位『暴虎の牙 上』柚月裕子[著](KADOKAWA)

6位『暴虎の牙 下』柚月裕子[著](KADOKAWA)

7位『名残の袖』岡本さとる[著](文藝春秋)

8位『傲慢と善良』辻村深月[著](朝日新聞出版)

9位『86-エイティシックス-Ep.12 -ホーリィ・ブルー・ブレット-』安里アサト[著](KADOKAWA)

10位『新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち(5)』佐島勤[著](KADOKAWA)

〈文庫ランキング 2月14日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年2月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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