【産経の本】『世界を予言した映画80本』瀬戸川宗太著

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■映画は未来をも映しだす

映画は時代を映す鏡だ。その時の社会の状況を、そして来るべき未来を映しだす。本書は娯楽大作からドキュメンタリーまで、時代を先取りした映画に隠されたメッセージを読み解いていく。

例えば2011年公開の米映画『コンテイジョン』は、中国で発生した未知のウイルスによるパンデミック(世界的大流行)を描いた作品。コロナ禍以前の製作にもかかわらず、感染拡大の経過、各国医療関係者の戦い、WHO(世界保健機関)と中国の癒着、ワクチン争奪戦、デマの拡散など、この数年、コロナ禍でわれわれが実際に経験した出来事がリアルに描かれ、驚かされる。

中国はこの映画によって実際のパンデミック時の国際的な対応の仕方を学んだのではないか、と著者は言う。実際、中国は同作が公開されたころからWHOへの介入を強め始めているのだ。

その他、『博士の異常な愛情』(1964年)が描いた核戦争の恐怖と現在の米中冷戦の対比、朝鮮戦争での米国との戦いを描く中国の最新戦争映画『1950 鋼の第7中隊』に見る台湾危機への中国の本気度など、刺激的な論考が収められている。(産経NF文庫・980円)

産経新聞
2023年2月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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