パンダが発情期に鳴き合う「恋鳴き」とは? すねているときには「プンプン」と鳴きます 『知らなかった! パンダ―アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ―』試し読み

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 2023年4月に45周年を迎えるテーマパーク「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)では29年にわたってジャイアントパンダを飼育してきました。

 これまでに20頭をお世話してきた経験と実績をもとに、「パンダチーム」がこの稀少な動物の生態や難しいといわれる繁殖・子育てなど、「へぇ~」と言わせるトリビア・トピックスを解説する『知らなかった! パンダ―アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ―』から、いろいろなパンダの鳴き声についてのトピックスを公開します。


お母さんパンダ・良浜の「すねポーズ」 写真提供:アドベンチャーワールド

鳴き声いろいろ

 発情期にオスとメスが鳴き合う「恋鳴き」。このときの声はヤギに似た「メェーメェー」、やがて興奮状態が高まると「キュルルルル、キュルルルル」と甘えるように鳴きます。
 実は、ほかにもいろんな声で鳴くんです。
 びっくりしたときには「ワン!」。
 怒ったときは「ウォー」と吠えます。
 生まれたばかりの赤ちゃんはとても大きな声で鳴きますが、音にすると「ギャーギャー」。少し大きくなるとそれが「アーンアーン」と聞こえることもあります。満足した時には「ググッググッ」。そして、甘えるときには鼻を鳴らして「フンフン、フンフン」だったり、「キュンキュン、キュンキュン」。
 おとなのパンダでめずらしいのは「トゥルルルル~トゥルルルル~」という鳴き声。これはお父さんパンダの永明が、竹が欲しいときに出す音です。はっきりとはわかりませんが、鼻を鳴らしている感じに聞こえます。
 あと、すねているときには、「プンプン」と鳴きます。
 これは、子育て中のお母さんから、体重測定などで赤ちゃんを預かったときによく聞きます。「わたしの赤ちゃん、返してちょうだい!」ってすねたとき、「プンプン」鳴きます。良浜は「プンプン」鳴きながら、座って前肢、後肢を組んで丸くなってすねるんです。おだんごみたいに丸まる姿を、「良浜のすねポーズ」と呼んでいます。
 野生下では、おとなのパンダは繁殖期や外敵に対応するなど特別なときしか鳴きません。一方、子育て中はさまざまな鳴き声で母子がコミュニケーションをとります。
 アドベンチャーワールドのパンダたちは、竹が欲しいときだけでなく、スタッフに対してよく鳴きます。ご来園の際は、パンダの生の声にぜひ、耳を澄ましてみてください。

続きは書籍でお楽しみください

新潮社
2023年3月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。

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