【ペットと防災】東日本大震災で猫の多くが飼い主と再会できず… 猫・犬・鳥の災害への備えを教えます #知り続ける

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ペットの防災、ちゃんと考えていますか?

 今年で東日本大震災から12年目となり、人々の防災への意識は随分と高まって来た。

 しかし、ペットに関してはどうだろうか?

 震災への備えが必要なのは、人間だけではなくペットも同様。事前に備えておかなければ、いざという時に家族のように大切にしているペットを救えないかもしれない。

 災害への備えは何をすればいいのか? 実際に災害が起きてしまった時は、どのように行動すればいいのか?

 教えてくれるのは、ペットの防災に必要なことを網羅した書籍シリーズの『猫と一緒に生き残る防災BOOK』『犬と一緒に生き残る防災BOOK』『鳥と一緒に生き残る防災BOOK』(いずれも日東書院本社)だ。
 これらを参考に、猫、犬、鳥それぞれで必要な備えを見ていこう。

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「猫」にも「身元表示」は欠かせない!東日本大震災では飼い主見つからず……


離ればなれになることも想定しておこう

災害時、愛猫と離れ離れにならないためには迷子札やマイクロチップが欠かせません。環境省がまとめた「東日本大震災における被災動物対応記録集」では、迷子札や鑑札・狂犬病予防注射済表を装着していた犬85頭は100%飼い主が見つかっているのに対し、猫は誰も飼い主が見つかりませんでした。迷子札やマイクロチップを猫が付けていなかったためです。災害時は家が壊れるなどして猫が脱走してしまうことが少なくありません。離れ離れにならないためには、身元表示が欠かせません。大切な愛猫のためにも、今すぐ身元表示物を装着しましょう。

・首輪:迷子札をつけるためには首輪が必要。ひと目で飼い猫とわかる目印になるため、マイクロチップを装着していても首輪や迷子札も付けておくのがおすすめです。

・迷子札:迷子になったときの命綱。飼い主の電話番号や住所等を記入しておきます。金属に文字を彫るタイプ、カプセルの中に紙を入れておくタイプなどさまざま。邪魔にならないよう小さめが◎。

・マイクロチップ:動物病院で注射器のようなもので首の後ろに挿入します。専用のリーダー(読み取り機)を当てると数字が読み取れ、あらかじめ登録しておいたデータと照合することで飼い主の連絡先がわかります。このため事前の登録やデータの更新が必須です。

「うちのコは首輪を嫌がるから付けられない」という人はやり方を工夫してみましょう。まず首輪が緩いと前足で取ろうとして猿ぐつわ状態になってしまうので、付けたときに人の指が1~2本入る程度に調節してください。セーフティ首輪(力が加わると自動で外れるタイプ)は、慣れるまではバックル同士を紐で結ぶなどして外れないようにします。はじめは軽いマジックテープを首に巻いて慣らすという手もあります。嫌がっている猫も次第に慣れていくので、いっときの我慢です。

「犬」は予防接種や抗体の「証明書」も用意しておこう


避難所での生活も想定した備えを

新型コロナウイルスの流行により在宅避難が推奨されていますが、倒壊の危険があったり、ライフラインが止まっている場合など、避難所で生活することも考えなければいけません。狂犬病などのワクチン接種や寄生虫予防、避妊・去勢手術は、平時でも犬にとって大切な健康管理ですが、ペット可の避難所でも狂犬病予防接種を義務付けているところもあり、これらを怠っていると災害時に「避難所に入れない!」と困ることになります。

狂犬病予防接種は法律で定められた飼い主の義務です。混合ワクチンは任意ですが、動物病院やアニマルシェルター、ペットホテルにあずけたいときは1年以内の接種が確認できる証明書が必要。最近では混合ワクチンは3年に1度の接種を推奨する考えもありますが、その場合は基準値以上の抗体があることを証明する「抗体価証明書」を1年ごとにもらっておくとよいでしょう。

きちんと社会化ができておらず、飼い主さん以外の人や他の犬を怖がる犬は、多くの人や犬が集まる避難所等での生活は難しくなります。犬のストレスが大きくなり体調を崩したり、他の人の迷惑になるからと避難所を出て行かねばならないケースも。自宅の片付けなどで犬を一時的にあずけたいときも、飼い主さん以外が触れないと難しくなります。子犬の頃からのトレーニングで社会性を身につけましょう。すでに社会化期を過ぎ、慣らすのが難しい場合は専門家の手を借りることも必要。災害時に限らず、普段の生活も楽になるはずです。

『犬と一緒に生き残る防災BOOK』 で紹介する「いろんな音、人、犬に慣らす」「服や靴に慣らす」などの項目以外にも、体を触る、首輪をつかむ、抱っこする、ブラッシング等のお手入れに慣らすなども必要。「オイデ」などのコマンドも覚えてもらうと非常に役立ちます。

鳥は寒さ対策が大切!ポータブル電源の用意も


熱帯出身の鳥は寒さに弱い

災害時は停電で暖房やクーラーが使えないことが想定されます。電気の復旧は比較的早いものの、それまでの間寒さや暑さをどうするかは大きな問題。特に熱帯出身の鳥は寒さに弱く、寒い時期に保温できないと命に関わります。ここではカイロを使った保温方法を紹介していますが、ポータブル電源を購入していつもの鳥用ヒーターを使えるようにすることも検討を。

【停電時の保温の方法】

1.小さいプラケースに入れる
プラケースの幅は鳥の体長の1.5倍ほどがベスト。空間が小さいほど効率よく温められます。底にキッチンペーパーや新聞紙を敷きます。

2.カイロをプラケースの外側、側面に貼ります
底面に貼ると低温ヤケドの恐れがあります。カイロの数は温度計を見ながら調節します。カイロが無ければガスコンロでお湯を沸かし、湯たんぽを作ってプラケースの横や上に置いても。

3.温度計でつねにチェック
プラケース内にセンサーを入れてチェック。一定時間内の最高温度と最低温度がわかる最高最低温度計だとなお◎。28~30℃を保ち、鳥が暑がったら下げます。

4.エサと水を入れる
容器を側面や底に貼って固定。エサは底にばらまいてもOKです。

5.ソフトクーラーボックスにプラケースを入れる
アルミシートで覆われたクーラーボックスは保冷だけでなく保温もできます。温度計はボックスの外に出しチェック。クーラーボックスがないときはエマージェンシーシートやプチプチ(緩衝材)で包みます。

※密閉はしないこと!
使捨てカイロは鉄粉が酸化することで発熱します。酸素を使うため密閉すると鳥が酸欠になる恐れが。カイロの周りを完全に閉めなければ大丈夫です。

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災害は、思わぬ時にやって来るもの。その時が来てから後悔することのないように、大切なペットを守り抜くために、しっかりと備えておくことが大切だ。

辰巳出版
2023年3月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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