『安倍晋三 回顧録』本の売上ランキングで二度目の総合1位 描かれた官僚不信に「官僚たちの怒りがくすぶっている」の分析

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 3月14日トーハンの週間ベストセラーが発表され、ノンフィクション・ライトエッセイ第1位は『安倍晋三 回顧録』が獲得した。
 第2位は『102歳、一人暮らし。 哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』。第3位は『20代で得た知見』となった。

 1位の『安倍晋三 回顧録』は2月8日の発売以来4週連続でノンフィクション・ライトエッセイ部門1位を獲得。またトーハンの週間ベストセラー総合部門では3月14日発表分と2月28日発表分で1位を獲得し大きな注目を集め続けている。同書は昨年7月に死去した安倍晋三元首相のインタビューをまとめたもの。インタビューは首相退任後の2020年9月に行われ、長期政権維持の秘訣や選挙対策・財務省対策など国内政治の舵取りの裏側や、各国首脳と交わした重要な交渉の舞台裏も明かされている。

 政治学者の御厨貴さんは3月6日の毎日新聞で《「これは回顧録というよりも闘争録ですね。1期目の政権がひどい終わり方をして、そこからカムバックした2期目で7年9カ月の長期政権を築いた。大変な闘争心です。これまで現実と戦ってきた安倍氏が、今度は回顧録の中で自分を評価する歴史と必死に戦っているかのようです」》と同書の印象を語る。

 また同書の中で安倍氏は財務省をはじめとする官僚への不信感をあらわにしており、3月14日に配信された文春オンラインの記事でプチ鹿島氏はベテラン記者の言葉として《「いま霞が関では『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)に対する官僚たちの怒りがくすぶっている」》と紹介。同書で触れられている森友学園問題は財務省が仕組んだ策略の可能性があるとの安倍氏の見解について《「首相まで務めた人が陰謀論的なことを言っているわけです。このほかにも官僚を蔑ろにした表現が多い。回顧録を読んだ官僚たちには『自分達はちゃんと仕事をしていたんだという意地』もあるでしょう」》との見立てを掲載し、現在国会で注目の的となっている高市早苗氏の「行政文書問題」と見比べるのも面白いと述べている。

1位『安倍晋三 回顧録』安倍晋三[著]橋本五郎[聞き手]尾山宏[聞き手・構成]北村滋[監修](中央公論新社)

022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相の肉声。なぜ、憲政史上最長の政権は実現したのか。一次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞が関、党内外の反対勢力との暗闘……。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形勢を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。オバマ、トランプ、プーチン、習近平、メルケルら各国要人との秘話も載録。あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューの全記録。(中央公論新社ウェブサイトより)

2位『102歳、一人暮らし。 哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』石井哲代[著]中国新聞社[著](文藝春秋)

よく寝てよく食べよくしゃべる。こんなかわいいおばあちゃんになりたい!「中国新聞」に”人生100年時代のモデル”として密着記事が連載され、RCCテレビ「イマナマ!」にも出演し、広島で大人気! 102歳の哲代おばあちゃん、初めての本。自分らしくご機嫌に老いるためのヒントが満載。(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

3位『20代で得た知見』F[著](KADOKAWA)

人生は忘れがたい断片にいくつ出会い、心動かされたかで決まる(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』伊藤博敏[著](講談社)

5位『養老先生、再び病院へ行く』養老孟司[著]中川恵一[著](エクスナレッジ)

6位『マンガ ぼけ日和』矢部太郎[著]長谷川嘉哉[原案](かんき出版)

7位『心をととのえるスヌーピー 悩みが消えていく禅の言葉』チャールズ・M・シュルツ[著]谷川俊太郎[訳]枡野俊明[監修](光文社)

8位『メンタル強め美女白川さん4』獅子[著](KADOKAWA)

9位『天路の旅人』沢木耕太郎[著](新潮社)

10位『裸一貫!つづ井さん5』つづ井[著](文藝春秋)

〈ノンフィクション・ライトエッセイランキング 3月14日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年3月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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