『冷戦終焉期の日米関係』山口航著

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『冷戦終焉期の日米関係』山口航著

[レビュアー] 産経新聞社

大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘という昭和後期の3代の首相が掲げ続けた政策理念「総合安全保障」。国防を指す狭義の安全保障に加え、経済や食糧、さらに対外援助など幅広い非軍事手段を含む概念として理解されている。

それは単なる手段の多様性に留(とど)まらず、同盟の維持発展や平和な国際環境構築という「多層性」も重視する考え方でもあった。ソ連との「新冷戦」が激化していた当時、この概念がどう日米関係の強化や西側陣営を中心とする国際社会への貢献につながっていったのか。気鋭の政治学者が、近年公開された外交資料などを駆使して描く。(吉川弘文館・9900円)

産経新聞
2023年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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