最大の脅威は、やはり中国(写真はイメージ)
岸田総理大臣がウクライナを電撃的に訪問する一方で、中国・習近平国家主席が、同じタイミングでロシア訪問するなど世界に驚きを与えている。世界の動きはこれからどうなっていくのか? 今、日本の安全保障には、何が求められているのか。
米・プリンストン大学で国際政治(戦争論)を専攻し、内閣官房参与もつとめていた高橋洋一氏の著書『【図解】新・地政学入門』より、中国が日本にとって最大の脅威である理由を一部抜粋して紹介する。
日本にとって最大の脅威は、やはり中国
第二次大戦以降、アジアは最大のリスク地帯。その只中にある日本にとって、最大の脅威となる国はどこか。
「赤信号」が灯っているのは中国と北朝鮮であることは、いうまでもない。
事実、中国に対する自衛隊のスクランブル(緊急発進)は、ここ10年ほどで急増している。2021年度は前年比379回増の1007回、そのうち実に7割が対中国だ(図1参照)。
ちなみに、残り3割の大半を占めているのはロシアである。
【図1】自衛隊のスクランブル
その上、中国の漁民には「擬似海軍」という一面もあるといわれている。
厄介なのは、内実は海軍も同然であっても、表向きが漁民では軍事的に対応することができない点だ。要するに、「漁民」であることを隠れ蓑に、彼らは中国政府から海軍に匹敵するような任務を与えられている。そう懸念されているのである。
「民主的平和論」に従って考えても、やはり中国は民主主義国家より戦争を起こしやすい国、脅威と見るべきなのである。
現状のままでは、もはや中国に対抗するのは難しい
2019年には、米ロの間で結ばれていた中距離核戦力全廃条約が失効した。
難しいのは、今となっては米ロの2国間ではなく、中国も含めて協議しなくてはいけない点だ。アメリカの政治力に期待したいところだが、中国に核を廃棄させるのは、かなり難しいだろう。
それに加えて、中国は、日本全土を射程に収める中距離弾道ミサイルを2000発も保有している。
日本が取りうる策は長距離の巡航ミサイルの配備だが、これは、いってしまえば飛行機のようなものだ。猛烈なスピードで飛んでくる弾道ミサイルとでは、威力の差がありすぎる。
それでも「ないよりはマシ」ということで、防衛予算内ではあるが、日本は大量の巡航ミサイルを保有する見込みだ。
同盟国アメリカの存在は当然、欠かせないが、日本も「もし中国が日本に対し軍事攻撃を仕掛けようものなら、巡航ミサイルを打つ」という姿勢くらい見せなくては、もはや中国に対抗できなくなっている。
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民主主義のロジックも立憲主義の常識も通用しない
なぜ、ここまで中国を危険視するのか。
理由はたった一つで、中国が大きな独裁主義国家だからである。すべては共産党、もっといえば共産党トップである、国家主席の一存で決まるといってしまっていい。
対抗する政党もなければ、政府を規制する憲法もない。
中国は立憲主義ではないというと、「中国にも憲法がある」と反論してくる人が必ずいる。たしかに中国にも憲法はあるが、問題はその中身だ。
そもそも憲法とは、国の最高法規である。
日本国憲法にも「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とある。要するに個人も国も憲法の制約下にあり、憲法に反することは、たとえ国を動かす政府であってもしてはいけない、ということだ。
どの政党が政権についたとしても、憲法の規制のもとで政治を行わなくてはいけない。
ところが中華人民共和国憲法の前文には「四つの基本原則」なるものが制定されており、その一つは「中国共産党の指導」である。
つまり、国の最高法規である憲法において、共産党が国を動かすことの正当性が織り込まれている。
憲法とは本来、政府を制限するものであるべきなのに、中国の憲法は、実質、共産党の一党独裁体制を支えるものになっているのである。
だから、中国は立憲主義ではないといっているのだ。
こうした名ばかりの憲法では、本当に公正な普通選挙が行われないのもうなずけるのではないか。
このように、民主主義のロジックも立憲主義の常識も通用しない国を、隣国にもっているということを、日本人は理解しておかなければならない。
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