【話題の本】『調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』小林昌樹著

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■職人的司書のノウハウ公開

今日から新年度。リポートを課された学生をはじめ、仕事に趣味に、ちょっとした調べものが必要になる人は多いだろう。「ググる」との言葉があるように、インターネット検索の利用はもはや常識だが、首尾よく情報が見つかるとはかぎらない。

よく知らない分野の質問に、短時間できちんとした答えを見いだすにはどうすればいいか。国立国会図書館で約15年、レファレンスサービス(利用者の調べもの相談)に従事したプロが、これまで暗黙知にとどまっていた実践的なチップス(コツ)を伝授するのが本書だ。

昨年12月に初版2250部と比較的少部数でスタートしたところ、反響が大きく現在6刷3万部のヒットに。版元の皓星社は当初、読者層として司書や学生を想定していたが、「ビジネスマンやライター、校閲さんなど、思った以上に広い範囲の方に読まれたようです」と語る。

「全米が泣いた」というフレーズの初出はいつか。昭和の新聞広告を検索する方法は。官僚や業界人など「半有名人」の調べ方は―。思わぬところに存在する答えに、どうたどり着くのか。職人的司書の考え方や手法を、言語化して万人に公開してくれる快著だ。(皓星社・2200円)

磨井慎吾

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