「ゲームはさせない方がいい。それが子供のため」
そんな風潮に、お笑い芸人である小籔千豊さんが「待った」の声を上げた。小籔さん初の著書となる『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』(辰巳出版)では、フォートナイトというゲームを通して学んだ子供との接し方、ネットの世界でのマナーやタブー、大人の介入の必要性、そして改めて知ったゲームの面白さ、更には自身がゲームYouTuber「フォートナイト下手くそおじさん」として活動するに至った経緯や苦悩が、おなじみの「小籔節」も交えながらリアルな体験談として語りつくされている。
以下、『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由く』から一部を抜粋して公開します。
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子供の気持ちがわからない大人たち
僕らは「おもちゃを買って欲しい」など自分が幼い頃に経験したことは簡単に想像できますが、自分が経験してこなかった「ネットに課金して欲しい」という気持ちはなかなか理解ができません。その点は少し寄り添うべきでしょう。
以前、息子が、僕たちにわけのわからんことをアピールしてきたことがありました。
「PINGが高すぎてラグいねん」
ピング? ラグい? なにそれ? って感じの僕と嫁。息子は必死にアピールしてくるが、わからないし、興味もない。それでも根気よく話を聞いていると、うっすらと理解できた。要するに『うちのネット回線が弱すぎて、フォートナイトをプレイ中に動作がカクカクになって負けることがよくある。だからネット環境を良くしてくれ』と。
「ゲームできてるんやし、そんな変わらんやろ。よその子もラグい子はいてるはず。なんならPS4が家にない子もいるはず。子供のゲームのためだけに、特に不便でもないネット回線を良くするなんて贅沢。ありえない」
その時はすでに僕もフォートナイトにハマり始めてはいたものの、自分がSwitchでプレイしていても特に不自由さは感じていませんでした。当時小3の息子はその後も何度もアピールを続けましたが、僕は「気持ちはわかるが……」といつも生返事をしていました。今から思えば、気持ちは全くわかっていなかった。僕がPCを買って、自宅でフォートナイトをやるようになった時に、初めて理解したのです。確かにめちゃくちゃラグい、回線が弱い、と。僕はすぐにネット回線を最強にしました。
同じ目線に立つことの重要性
「大人はせこい」
子供の頃、何度この言葉を心の中で叫んだか。子供を子供扱いしないと決めていながら、この有様です。甘やかすパターンの子供扱いではなく、どうせ子供の言っていることだと軽く流すパターンの子供扱い。子供の頃、自分自身がそれをされてすごく嫌だったにもかかわらず。
反省しないといけない。アホの僕は、フォートナイトにハマっていなかったら気付けなかっただろう。
「好きなように生きたいなら、自分でしっかり稼げるように準備しろ。そのためには今どうすれば良いか逆算しろ」
なんて、もっともらしい言葉をそえて、僕は今サクサクの回線でフォートナイトをやっている。息子もサクサク回線を享受できるようになった。
教育として正しいのかどうかはわかりませんが、同じ経験をすることで、同じ目線になり、子供に少し寄り添えたような気がして単純に嬉しく思っています。
「感度遅いよな、パパは。あといちいち止まって編集すんのヤメなあかんな」
「なるほど」
「パパはもっと敵の位置把握せなあかんわ」
「それができんのよ」
「視覚化にしたら?」
「そうしたら把握できるんか。そっか。」
「動画で見たけど、こんなんできるんやって」
「そうなん? 教えて。ちょっとやって見せて」
思い返せば、息子から何かを真剣に教えてもらうこともありませんでした。今は完全に息子が師匠です。息子の言うことに、真剣に耳を傾けている。教えてもらっている。息子からしたら、父親がこんな目をして聞いてくる姿は見たことがなかったと思います。
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- ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由
- 価格:1,540円(税込)
後悔のない親でありたい
ただ、色々教わっている時にも、
「その言い方ではわからんわ」
「伝わりにくい」
など、チラチラと親の顔は出しています。将来、説明がちゃんとできる大人になって欲しいので、今こうして誰かに教えている姿を直に見られるのは有難い。良い訓練になっているかもしれません。
ゲームさせて、課金させて、周りから見たらろくでもない親でしょう。でも、あのままゲームに否定的で、子供と一緒にフォートナイトをやっていなかったら、大した躾もできないくせに上から目線な小言だけを言うタイプの親を続けていました。それが少し改善されたのと、そして何より子供との関係の種類が増えたのは良かったと思います。
時には『ツレ』
時には『師匠と弟子』
たまに『嫁にやられそうになっている軍師と援軍』
そして『子と親』
いつ死ぬかわからないので、子供と親密になれたのは本当に嬉しかった。僕は母が死んだ時、色々思いました。
「あれやっとけばよかった」
「あんなことしてしまった」
「もっと喋っとけばよかった」
「あれはできてよかった」
これで僕が死んだ時の後悔が、少しは減ったはずです。
ただ、これで終わりではありません。
「やっぱり子供にゲームやらせん方が良かった」
そう後悔しないように、これからも躾ていかないといけない。
「子供にゲームをやらせて、まぁ良かったかも」
死ぬ間際、そんな風に思えたらいいですね。
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