『スマホはどこまで脳を壊すか』
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『スマホはどこまで脳を壊すか』榊浩平著、川島隆太監修(朝日新書)
[レビュアー] 西成活裕(数理物理学者・東京大教授)
これは子供たちの未来に対する重大な警告書である。今やスマホの世帯保有率は約9割になっており、毎日それを使うのが当たり前になっている。しかし、ワープロを使いだすと漢字が書けなくなっていくように、スマホを使い続けると一体どうなるのだろうか。
これに対して、数万人の小中学生を10年以上にわたって追跡調査し、脳科学の立場で分析した最新の知見が本書である。膨大なデータから導かれた結論の数々は、そのあまりの恐ろしさに言葉を失う。特にスマホが学力低下を引き起こす明確な因果関係が示されており、例えば毎日3時間以上使用している人は、どれだけ勉強しても学力が伸びないそうだ。しかも将来の認知症のリスクも高める可能性があるという。
その原因だが、要するにスマホは便利すぎるし、様々な機能があって気が散るのだ。このため子供が長時間使うと脳の発達が阻害されてしまうそうだ。もちろんスマホは今やなくてはならないものだが、賢く使うことが肝心だ。その健全な使用法について、家族で話し合う良いきっかけになる一冊である。