音楽教室に著作権管理団体が潜入調査 本屋大賞2位の『ラブカは静かに弓を持つ』は「スパイ×音楽小説」[文芸書ベストセラー]

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 5月9日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『汝、星のごとく』が獲得した。
 第2位は『街とその不確かな壁』。第3位は『くもをさがす』となった。

 今週1位の『汝、星のごとく』は4月12日に発表された「2023年本屋大賞」で大賞を受賞した作品。4位以下で注目は8位に初登場の『ラブカは静かに弓を持つ』。同じく「2023年本屋大賞」で2位を獲得した作品だ。キャッチコピーは「スパイ×音楽小説」。音楽の著作権管理団体に勤める主人公が音楽教室の著作権侵害を調査するため、一般の生徒として潜入。そこで出会った講師や仲間と交流するうちに、スパイであることの罪悪感をいだくも、法定に立つタイムリミットが近づいてくる。緻密なプロットと心理描写で緊張感あふれるエンターテイメント小説となっている。

 書評家の大矢博子さんは《証人として出廷する以上、彼がスパイだったことは先生にも仲間にもばれてしまう――というところからの意外な展開と、その後の畳み掛けは圧巻だ》《物語のテーマは、一度築いた信頼が壊れる様子と、それを修復することはできるのかという点にある》と解説しながら《迷いの中で橘(主人公 ※編集部注)は、ある選択をする。それは彼が、音楽教室の仲間と自分の職場のどちらかを裏切るということだ。自分が橘ならどうするか、ぜひ我が身に引き寄せて考えてみていただきたい。 心揺さぶる、静かなエスピオナージュである。》と評している。

1位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

その愛は、あまりにも切ない。正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。(講談社ウェブサイトより抜粋)

2位『街とその不確かな壁』村上春樹[著](新潮社)

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。(新潮社ウェブサイトより)

3位『くもをさがす』西加奈子[著](河出書房新社)

カナダで、がんになった。「私は弱い。徹底的に弱い」。でもーーあなたに、これを読んでほしいと思った。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。(河出書房新社ウェブサイトより)

4位『魔女と過ごした七日間』東野圭吾[著](KADOKAWA)

5位『君のクイズ』小川哲[著](朝日新聞出版)

6位『異世界のんびり農家 15』内藤騎之介[著](KADOKAWA)

7位『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈[著](新潮社)

8位『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒[著](集英社)

9位『とんでもスキルで異世界放浪メシ 14 クリームコロッケ×邪教の終焉』江口連[著](オーバーラップ)

10位『#真相をお話しします』結城真一郎[著](新潮社)

〈文芸書ランキング 5月9日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年5月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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