「正しくなくたっていいじゃないか」世間的な「正しさ」と距離を置く凪良ゆうの作品の魅力[文芸書ベストセラー]

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 6月6日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『汝、星のごとく』が獲得した。
 第2位は『くもをさがす』。第3位は『街とその不確かな壁』となった。

 1位は先週と変わらず、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』。4月12日に発表された「2023年本屋大賞」で大賞を受賞した作品。瀬戸内の島で高校生のときに出会った男女の恋愛模様を描く。それぞれの道を歩く二人は様々な困難と向き合いながら成長し、躓きながらも自らの愛を信じ、世間の正しさとは違う生き方を選択する。

 凪良さんは担当編集者との対談で、《一度、真剣にリアルな恋愛小説を書いてみたいと思っていました》と意気込むも《できあがってみるとそのジャンルに規定されるものではなくなったな、と自分でも思います。瀬戸内の島に育ったなんの取り柄もない女の子が自立した強さを身につけていく、その生き様を描いた物語にもなりました》と解説。凪良さんは自身の描く登場人物たちは《世間的な正しさにのっとって行動しない人が多い》と分析し、《もしかしたら私自身、正しくなくたっていいじゃないかと、どこかで思っているからかもしれませんが……。どうしてもそうせざるをえない状況や、どうしてもそうしたいと思えることがあるなら、自分で決断して行動すればいい、と思います。》と帯にもとりあげられた一文「わたしは愛する男のために人生を誤りたい」に込めた思いを語っている。

1位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

その愛は、あまりにも切ない。正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。(講談社ウェブサイトより抜粋)

2位『くもをさがす』西加奈子[著](河出書房新社)

カナダで、がんになった。「私は弱い。徹底的に弱い」。でもーーあなたに、これを読んでほしいと思った。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。(河出書房新社ウェブサイトより)

3位『街とその不確かな壁』村上春樹[著](新潮社)

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。(新潮社ウェブサイトより)

4位『物語の種』有川ひろ[著](幻冬舎)

5位『ヨモツイクサ』知念実希人[著](双葉社)

6位『コメンテーター』奥田英朗[著](文藝春秋)

7位『戦物語』西尾維新[著](講談社)

8位『バスタード・ソードマン』ジェームズ・リッチマン[著](KADOKAWA)

9位『失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 6』樋辻臥命[小説](マイクロマガジン社)

10位『地味薬師令嬢はもう契約更新いたしません。 ~ざまぁ? 没落? 私には関係ないことです~』鏑木うりこ[著](アルファポリス)

〈文芸書ランキング 6月6日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク