「100分de名著」で話題 惨事に便乗した強欲な政策「ショック・ドクトリン」は日本でも行われている マイナンバー制度の思惑を暴露した一冊が話題[新書ベストセラー]

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 6月6日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『裁判官の爆笑お言葉集』が獲得した。
 第2位は『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』。第3位は『脳の闇』となった。

 2位に初登場の『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』は国際ジャーナリストの堤未果さんが大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革に警鐘を鳴らした一冊。「ショック・ドクトリン」が世界的に注目を浴びたのは2007年秋、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインさんが上梓した「”The Shock Doctrine――The Rise of Disaster Capitalism」(邦題『ショック・ドクトリン (上)(下)』岩波書店)が世界的にベストセラーになったことから。同書はピノチェト政権下のチリや9.11、各地で起こった大地震や津波被害など、人々が惨事で茫然自失としている隙に過激な経済改革が進んだ実例をあげながら、アメリカとグローバル企業がいかに富を独占してきたかを暴き出した。NHKの番組「100分de名著」で2023年6月の名著として取り上げられ、堤さんも講師として出演している。

 堤さんは『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』のなかで、新型コロナウイルスによるパンデミックやウクライナ戦争、気候変動や食糧危機などを背景に日本でも「ショック・ドクトリン」が進んでおり、個人情報や資産が奪われようとしていると警告。政府が性急にすすめるマイナンバー制度普及の先には何が待っているのか。個人でできる対処法や日本が進むべき別の道も示された一冊となっている。

1位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤未果[著](幻冬舎)

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは? 滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

3位『脳の闇』中野信子[著](新潮社)

ブレない人、正しい人と言われたい、他人に認められたい……集団の中で、人は常に承認欲求と無縁ではいられない。ともすれば無意識の情動に流され、あいまいで不安な状態を嫌う脳の仕組みは、深淵にして実にやっかいなのだ――自身の人生と脳科学の知見を通して、現代社会の病理と私たち人間の脳に備わる深い闇を鮮やかに解き明かす。五年にわたる思索のエッセンスを一冊に凝縮した、衝撃の人間論!(新潮社ウェブサイトより)

4位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

5位『折れない心 人間関係に悩まない生き方』橋下徹[著](PHP研究所)

6位『日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで』磯田道史[著](中央公論新社)

7位『成熟スイッチ』林真理子[著](講談社)

8位『「発達障害」と間違われる子どもたち』成田奈緒子[著](青春出版社)

9位『カラー版 名画を見る眼I 油彩画誕生からマネまで』高階秀爾[著](岩波書店)

10位『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』辻田真佐憲[著](講談社)

〈新書ランキング 6月6日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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