【話題の本】『バッタを倒すぜ　アフリカで』前野ウルド浩太郎著

■「婚活」研究成果も

食料危機を引き起こす恐れのあるバッタの大発生を防ぐため、西アフリカはモーリタニアへ向かった研究者の冒険ノンフィクション『バッタを倒しにアフリカへ』（平成２９年刊）の続編。表紙を飾るコスプレ姿から、前作を連想する人も多いだろう。

「紀行文、若い研究者の成長物語など、いろいろな読み方」（編集担当者）をされた前作は、１９刷２２万７０００部、電子版を含めると約２６万部のベストセラーとなった。読者は２０～７０代で男女比は半々と幅広いが、５月１１日に東京都内の書店で開かれた今作の刊行記念イベントでは来場者の多くが女性だったという。

著者は令和３年、メインの研究であるバッタの繁殖行動（婚活）に関する論文を発表。光文社によると、それ以前に刊行した前作に対しては「バッタの研究内容が載っていない」という意見もあったそうだ。

今作にはバッタの婚活が盛り込まれたほか、研究生活や紀行の要素もユーモアたっぷりにつづられ、６００ページを超す分厚さに。前作に登場して人気者となった「ドライバーで相棒」のティジャニについては一章が割かれ、彼の意外な素性が明かされている。４月１７日の発売から１カ月足らずで４刷３万５０００部と、こちらも好調だ。（光文社新書・１６５０円）

寺田理恵