【話題の本】『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一著、守屋淳訳

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■新紙幣で関心高まる

新紙幣の発行が3日から始まり、「日本資本主義の父」と称される実業家の渋沢栄一(1840~1931年)が新しい一万円札の顔となった。紙幣のデザイン刷新は約20年ぶり。渋沢への関心の高まりを受け、その著作の抄訳版『現代語訳 論語と算盤(そろばん)』が出版取次大手、トーハンの週間ベストセラー(9日発表)で新書部門4位にランクされた。

原著の『論語と算盤』(大正5年刊)は、渋沢の講演での口述を編集したもの。「利潤と道徳を調和させる」という経営哲学を説いている。そこから重要部分を選び、現代語に訳したのが本書だ。「漢文調の文章を読み辛いと感じる人が増え、栄一という近代屈指の偉人と出会いにくくなってしまった」。こう憂えた訳者が中学生でも気軽に読めるものを目指しただけに、100年以上も前の本とは思えないほど読みやすい。

筑摩書房によると、本書は平成22年に刊行、56刷で累計65万部を突破した。新紙幣のデザインが発表された31年4月9日からこれまでの間に、46万6100部も増刷している。もともとは経営者に読まれていたが、近年は購買層が広がっており、ビジネス街だけでなくショッピングモール内の書店でも売り上げが伸びているそうだ。(ちくま新書・902円)

寺田理恵

産経新聞
2024年7月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。