【産経Books】『北朝鮮は今も日本人を拉致していますか』中村将著 現在進行形の事件

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北朝鮮に拉致された娘の帰国を待ちわびる横田早紀江さんは今年、88歳になった。助けを待つめぐみさんは10月5日に還暦の誕生日を迎える。拉致事件の解決は、もはや一刻の猶予も許されない。

本書は、産経新聞の大型連載「教科書が教えない拉致問題」を大幅加筆、再構成してまとめられた。拉致事件の一端が明らかになった「大韓航空機爆破事件」(1987年)、「辛光洙(シングァンス)事件」(80年)、そして「めぐみさん事件」(77年)など数々の日本人拉致について、捜査当局や関係者への取材から得られた膨大なデータを、緻密に組み立てることで国家による凶行の全容と本質に迫っていく。

タイトルは、著者が中学や高校などで行った拉致事件に関する「出前授業」で、生徒らにした問いかけの文言となっている。著者は生徒らに「拉致はいまも続いている」「何も解決していない」と説く。拉致は現在進行形の事件なのだ。

巻末には、早紀江さん、滋さん夫妻が、めぐみさんにあてた手紙(産経新聞、随時掲載)の一部も掲載されている。「めぐみちゃん、こんにちは」で始まる両親の心痛な思いに接することで、拉致事件が読者の記憶に改めて刻みこまれるだろう。(産経新聞出版・1650円)

産経新聞
2024年9月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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