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- 人生の壁
- 価格:968円(税込)
『バカの壁』に始まる養老孟司さんの「壁」シリーズ7作目となる最新刊『人生の壁』が刊行されました。今回のテーマはずばり「人生」。養老さんが自身の人生を振り返りながら、悩み多き現代人に「こう考えたら楽になるのでは」と優しく語りかけた1冊です。
とかくコスパなど効率を重視する風潮に対して、養老さんは「それで本当にいいのでしょうか」と疑問を投げかけています(『人生の壁』第5章からの抜粋です)。
コスパを追求して何になるのか
厄介なことを避けたいのは当然です。しかし、人生において効率のみを追求することはおすすめしません。大切なのは、精一杯生きること、本気で生きることです。
好きな言葉に「メメント・モリ」と「カルペ・ディエム」があります。いずれもラテン語で、「メメント・モリ」は「死を想え」、「カルペ・ディエム」は「今日を精一杯生きろ」。
二つの言葉は対になっていて、中世の修道院で挨拶のように応酬されていたといいます。最近、ヤマザキマリさんは『CARPE DIEM 今この瞬間を生きて』(エクスナレッジ)という本を出しました。茶道の裏千家の代表的な茶室、今日庵(こんにちあん)も同じ考えから名づけられています。「今日を生きる」ことの大切さが名前の由来です。
しかし、この「今日を精一杯生きる」ことへの思いが今は足りないのではないでしょうか。本気で死を思っていないから、精一杯生きることも真剣に考えていない。
がんになって余命宣告でもされれば、「今日」の大切さに気付くのでしょうが、普段はそうはならない。
余命一年だと言われれば、会社を辞めようと思う人は多いでしょう。しかし、ではなぜ今辞めないのか。生活のために働く必要があるのは当然として、現代人は本気で生きることを考えていないのではないか。
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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。
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