底値で買って高値で売るのが投資の定石とされるが、一般の投資家にとって、この方針は正しいといえるだろうか。
そもそも、一般の投資家が底値を見極められるのか。今は底なのか、天井か。買うべきか、売るべきか。たいていの人は判断に悩むことだろう。
30年近く経済を専門に取材してきたジャーナリストのニコラ・ベルベ氏は、相場を予想して投資することは、「自分には未来を予測する力があると考えること」だと指摘する。そして、これは投資家にとって最も高くつく“直感”であり、大きな間違いだというのだ。
ベルべ氏が有名投資家や金融機関に取材を続け、膨大な公開データに自身の経験もまじえて執筆した世界的ベストセラー『年1時間で億になる投資の正解』から、そのワケをみていこう。
(※以下、同書をもとに引用・再構成しました)
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「底値で投資」VS「毎月定額で投資」の正解はどちら?
できるだけ安値で投資商品を買うために時間と労力を費やしても、期待するような目覚ましいリターンは得られない。
たとえば信じられないようなツキに恵まれ、相場が下落するたびに底値で投資できた人がいたとしよう。
金融アナリストで作家のニック・マギウッリが計算したところ、1970年から2019年にかけて相場が下落するたびに底値で投資できるというとんでもない幸運に恵まれた人でも、市場の変動など一切おかまいなしに毎月一定額を投資しつづけた人と比べてリターンは0.4%高いだけであることを突きとめた。
つまり最高のタイミングで投資を続けること(要は完璧に機能する水晶玉を持っていること)による追加リターンは、たった0.4%だということだ。実際に毎回完璧なタイミングで投資できる可能性は極めて低いのだから、着実に投資し続けるよりリターンは悪くなるだろう。
直感に従うのは間違いだ。投資するのを待て、という頭のなかの囁きに耳を傾けるのが間違いなら、心の平穏を得るために投資資産を売却するのも間違い。投資ほど直感が災いするものはなかなかない。
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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。
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