【話題の本】『檀一雄の従軍日記を読む』山城千惠子編著

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■記録は作品に生きる

『火宅の人』で知られる作家、檀一雄(明治45~昭和51年)が80年前の昭和19年、戦果を伝える陸軍報道班員として中国に渡った際に書いた日記全文を翻刻。旧字体の走り書きを各種史料で読み解き、明らかになっていなかった戦場の檀に迫った。

大学ノート2冊分の日記はこれまで未刊行で檀の出身地の山梨県立文学館が保管。今回の書籍化で、中国内陸部の飛行第9戦隊と第25戦隊への従軍が確認された。爆撃機上から見た風景に感動する記録もあり、李白や杜甫の詩に詠まれた景勝地の洞庭湖に近い洪湖一帯の描写は、後の小説『照る陽の庭』で生かされた。将来の作品を見据え記録にとどめていたようだ。敵機の爆撃に遭った様子や長男のエッセイスト、太郎さん(81)が翌日に1歳の誕生日を迎えることを喜ぶ記述もあった。

檀が暮らした東京都練馬区で文化施設を運営する団体の学芸員を務めた編著者は、檀の生誕100年展で日記の一部を展示。退職後、「その先を読んで活字で残したい」と出版した。昭和を代表する作家の従軍記録は文学史上も貴重で、評論家の武田徹氏は月刊誌『東京人』11月号に書評を寄稿。太郎さんから編著者に「この本はいいね」との感想が寄せられたそうだ。(新潮社図書編集室・2090円)

斎藤浩

産経新聞
※この記事の内容は掲載当時のものです

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