アザラシと“養子縁組”!? ブームになった「アザラシ幼稚園」の更なる進化とは? 大ヒット『アザラシまるごとBOOK』担当者に聞く

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流行語になった「アザラシ幼稚園」支援の更なる広がり

2024年の「ユーキャン 新語・流行語大賞」にノミネートされるなど、一大ムーブメントを巻き起こした「アザラシ幼稚園」。

昨年の夏、ランダのアザラシ保護施設「ピーテルブーレンアザラシセンター」のライブ配信を紹介するXの投稿がバズり、日本の視聴者が配信に殺到。センターは「アザラシ幼稚園」の愛称で呼ばれ、日本から多額の寄付が集まったのだ。

このピーテルブーレンアザラシセンターに加え、日本唯一のアザラシ保護施設「オホーツクとっかりセンター」など、日本で会えるアザラシも写真で紹介する『アザラシまるごとBOOK』(今泉忠明・監修、南幅俊輔・編著)もまた、大ヒットしている。

何と発売告知されただけでAmazonや楽天ブックスで「総合1位」を獲得、予約段階で完売になる異常事態。さらに、昨年12月に発売されるとXで書名がトレンド入りするなど、話題が絶えない。

同書について、出版元である辰巳出版の編集担当・小林裕子さんに話を聞いた。

***

――表紙の写真では、アザラシがアイドルのようなキメ顔にウインクまで見せていますね。

表紙はオランダ「アザラシ幼稚園」のアザラシで、左がキウイ、右がトエンチェという子です。アザラシ幼稚園とはオランダのアザラシ保護施設・ピーテルブーレンアザラシセンターの愛称です。ここではユネスコ世界遺産のワッデン海や北海で衰弱したアザラシを救出し、治療とリハビリを施して海にリリースする活動を行っています。今年の8月に、日本人Xユーザーのホカホカ通信さんによる投稿で一躍有名になり、YouTubeの24時間ライブ配信には多くの日本人視聴者が訪れています。

――キウイのウインクがあざとカワイイです。

この写真は「アザラシ幼稚園」ホームページのトップ画面にも使われており、一瞬で心を射抜かれました。

キウイは、2024年の夏季にアザラシ幼稚園で保護された最初のゼニガタアザラシでした。治療とリハビリを経て一度は自然界にリリースされたものの、海岸で衰弱したところを発見され、11月に再び保護されてしまったのです。

直接の原因は肺炎だったようですが、海岸で人間が不用意にキウイに近づいたために大きなストレスがかかり、体調を悪化させたと見られています。

今(12月19日現在)はリハビリの最終段階となる広いプールで生活しており、今度こそ“卒園”できる日も近いのではないかと「茶道部員」の間で噂されています。

――「茶道部員」とは何でしょうか?

アザラシ幼稚園のファンのことです。アザラシ幼稚園ブーム初期に、立ち泳ぎスタイルでプールに浮かぶアザラシを「茶柱」と称する人が現れました。アザラシ幼稚園のスタッフさんもこれに反応し、“幸運のシンボル”を意味するこの呼称がすっかり定着。そこから派生して、「茶」にまつわる様々なアザラシ幼稚園用語が生まれました。その流れのなかで、ファンたちが「茶道部員」を自称するようになっていったようです。

今泉忠明・監修、南幅俊輔・編著

Book Bang編集部
2025年1月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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