「こんな結末だったら良かったのに!」と考えた通りになっている 横浜流星主演の映画版で話題の『正体』原作と映画の違いとは?[文庫ベストセラー]

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 1月7日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『新たな明日 助太刀稼業(三)』が獲得した。
 第2位は『同志少女よ、敵を撃て』。第3位は『青い壺』となった。

 4位以下で注目は6位にランクインした『正体』。染井為人のサスペンスミステリ。2024年11月29日に映画版が公開され話題となった。一家3人を殺害し死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木は身分を偽り様々な場所にあらわれ、行く先々で出会った人々を窮地から救う。果たして彼の目的と真相は――。

 映画版では鏑木を横浜流星さんが演じた。同作は2022年にWOWOWでもドラマ化されており、そちらでは亀梨和也さんが演じていた。映画版と原作の違いについて書評家の大矢博子さんは《亀梨ドラマ版は結末を大きく変えていたのと同様、今回の映画でも結末は原作と異なる。》と紹介。その理由についても《原作が発表されたあと、「この結末は辛い」という趣旨の感想が著者のもとに多く届いたという。それを承知で著者は「すまなかった」とある登場人物に後書きで謝りつつ、文庫化の際にも結末を変えることをしなかった。それは、その結末だったからこそ伝わる現実のシビアな問題があるからだ。 しかし亀梨ドラマ版も映画版も、ありていに言えば原作読者が「こんな結末だったら良かったのに!」と考えた通りになっている。これは大きな救いだ。》と明かしている。

1位『新たな明日 助太刀稼業(三)』佐伯泰英[著](文藝春秋)

剣術修行と助太刀稼業によって商人たちの機微を知った若武者・嘉一郎。度重なる女武芸者らとの出会いや、毛利家の若様・助八郎の新しい姿を見るうち、これからの生き方を模索する。そんな時、江戸の分限者の娘たちが拐かされ、佃沖の異人船に捕らわれているとの知らせが?―嘉一郎が勇気を持って選んだ道とは?壮快な冒険のストーリーがついに完結!(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

〈第11回アガサ・クリスティー賞/二〇二二年本屋大賞受賞作〉一九四二年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊に住む狩りの名手セラフィマの平穏はドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──ベストセラーを文庫化。解説/高橋源一郎(早川書房ウェブサイトより)

3位『青い壺』有吉佐和子[著](文藝春秋)

読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇(文藝春秋ウェブサイトより)

4位『ペッパーズ・ゴースト』伊坂幸太郎[著](朝日新聞出版)

5位『透明な螺旋』東野圭吾[著](文藝春秋)

6位『正体』染井為人[著](光文社)

7位『傲慢と善良』辻村深月[著](朝日新聞出版)

8位『地面師たち』新庄耕[著](集英社)

9位『財布は踊る』原田ひ香[著](新潮社)

10位『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成[著](KADOKAWA)

〈文庫ランキング 1月7日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年1月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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