【産経Books】『WWⅡドイツ装甲戦闘車両総集』広田厚司著 戦車大国の全盛期

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

第二次世界大戦初頭の北アフリカ戦線で〝砂漠の狐〟と呼ばれたロンメル将軍率いるドイツ戦車軍団の圧倒的な強さは、映画や書籍などで繰り返し紹介されてきた。その戦車大国ドイツが大戦中に投入した戦闘車両の全車種を網羅したのが本書だ。

著者は翻訳業の傍ら欧州戦史の調査研究を続け、ドイツの戦車や戦場の写真集を数多く出版している。本書には、貴重な写真600枚を収録。ナチスのシンボルである鉤( かぎ )十字の旗が翻るパレード風景や、ヒトラーの姿も見える兵器供覧の様子、樹木で偽装された対空戦車といった生々しい写真も多く、マニアでなくても興味を引かれるだろう。

陸上を駆け回るイメージが強い戦車だが、潜水式もあった。1940年5~6月のフランス電撃戦が終了し、英国上陸作戦が計画される中で登場したのが潜水戦車だ。バルト海で行われた水上航走訓練の様子は希少な一枚。戦車の左右に浮舟を設置して時速10キロで航行した。英国侵攻が中止され、潜水戦車がドーバー海峡を渡ることはなかったが、独ソ戦の際に河を渡って旧ソ連へ侵攻した。

大量の爆弾を搭載した小型車や野戦炊事車を引く支援車両など珍しい写真もあり、今に続く戦車大国のチャレンジ精神が伝わってくる。(潮書房光人新社・2750円)

産経新聞
2025年1月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。