自覚症状のない腎臓病のリスク…尿が泡立つ、甘い匂い、靴下の跡も要注意な理由とは? 専門医が解説

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腎臓機能が低下すると人間の体内ではどんな変化が生じるのか?(写真はイメージ)

 腎臓とはどのような働きをして、腎臓機能が低下すると人間の体内ではどんな変化が生じるのでしょうか? 年々増える腎臓病患者にとって、「食事制限」は毎日の習慣の中でとても大事なことですが、自己流で過度な「塩分制限」「たんぱく質制限」は、かえって重い疾患を引き起こす可能性もあります。

 では、腎臓病の正しい知識を身につけて、自分にあった食事制限に取り組むためにはどうしたらよいのでしょうか。『医師と管理栄養士が考えた おいしく食べる腎臓病の安心レシピ』(新星出版社刊)から一部抜粋・再編集してお届けします。

腎臓病とはどんな病気か

 腎臓の機能に障害がでると、本来は体外に排出されるべき老廃物が体内に溜まってきます。体内の電解質のバランスも崩れ、必要なホルモンも不足してきます。しかし、初期にはほとんど自覚症状が現れません。腎臓は予備力の高い臓器なので、一部に障害がでてもほかの部分で働きをカバーできてしまうのです。

■自覚症状は現れない
 自覚症状が現れないので、健康診断で異常を指摘され、発覚することが多いのが腎臓病の特徴です。目立った症状がなくても検診の結果、腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下するか、たんぱく尿などの異常が3カ月以上続いていることが確認されると「慢性腎臓病」と診断されます。

 慢性腎臓病とは、腎臓の働きが慢性的に低下していく状態です。早期に適切な治療を行えば、進行を遅らせることができますが、障害が進むと「腎不全」になります。

■腎不全から障害が進むと末期腎不全
 腎不全とは腎臓が本来すべき働きができなくなった状態で、むくみや高血圧、食欲低下や息苦しさなど、さまざまな症状が出てきます。

 さらに障害がすすみ、腎臓がほとんど機能しなくなった状態が「末期腎不全」です。体内の老廃物や余分な水分が排出できなくなるため、腎臓の機能を人工的に行う透析療法や腎移植などの腎代替療法が必要になります。

■慢性腎臓病のさまざまな原因
 慢性腎臓病の原因は、何らかの原因で腎臓そのものの機能が低下する場合と、ある種の全身疾患に伴って腎臓の働きが低下する場合の2つがあります。

 近年増えているのが全身疾患に伴う腎障害です。糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、肝炎やエイズなどの感染症、悪性腫瘍などは腎臓病のリスクになります。年齢を重ねるごとに腎機能は低下するので、高齢の人も注意が必要です。肥満や喫煙なども、腎臓病の原因になるので、注意が必要です。

 腎臓そのものが悪くなる病気の代表は、腎臓の炎症である糸球体腎炎です。生活習慣はあまり関係せず、生活環境や免疫異常などにより若年で発症することもあります。また、遺伝によって起こる場合もあります。


慢性腎臓病はこうして進行していく

星穂奈美(ホシホナミ)聖路加国際病院 管理栄養士。2017年3月管理栄養士養成課程卒業後、一般財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院栄養部に入職。2021年12月より学校法人聖路加国際病院栄養科にて勤務。病態栄養専門管理栄養士、心不全療養指導士。

長浜正彦(ナガハママサヒコ)聖路加国際病院 腎臓内科医長。1999年日本医科大学卒業。聖路加国際病院で研修後に渡米し、米国ペンシルベニア病院内科、バージニア州立大学腎臓内科・移植科で研鑽を積む。日米における実地診療での経験豊富。日本内科学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本臨床腎移植学会の専門医に加えて米国医師免許を有し、米国内科学会、米国腎臓学会、米国移植学会の専門医資格を取得している唯一の日本人。日本腎臓学会CKD診療ガイドライン作成委員。

星穂奈美 著/長浜正彦 監修

Fun-Life!
2025年3月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新星出版社

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生活実用書、語学入門書、ビジネス実用書、児童書、各種資格試験問題集などを出版している。2023年10月に創業100周年を迎える老舗実用書出版社。2020年より、生活に役立つ情報をお届けするWEBマガジン、Fun-Life!を運営中。