「老猫ホーム」に200万円は高い? 自分の死後「ペットに残すお金」はいくら必要か “人任せ”はNG

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自分が死んだあとも大切なペットを守る(イラスト・はしもとみお)

「老描・老犬ホーム」「介護型ペットホテル」などの施設をご存知だろうか。

 いずれも人間の高齢者施設のように、老いたペットの世話を引き受けてくれる施設のことだ。一時預かりのほか、終身で預かってくれる場合もある。

 飼い主が元気なうちは自身で愛情をもって育てればよいが、病気やケガで飼育が困難になったり、亡くなってしまうこともあるだろう。そんな場合に、どう備えればよいのか。

 自分の死後もペットを守れる備えを教えてくれるのが、『私が死んだあとも愛する猫を守る本』(富田園子・著)だ。実際にどんな準備が必要になるのか、具体的にいくらのお金を残せばいいのか。同書をもとにみていこう(※以下、同書から引用・再構成しました)

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万一のとき、愛猫を託せる人はいますか?

 自分にもしものことがあったとき、愛猫を託せる人はいるでしょうか。家族、友人のなかで頼める人はいますか。理想は、猫好きで猫の飼育経験があり、猫アレルギーはなく、健康に問題のない人。できれば下の世代の人。何より、あなたと信頼関係があることが大切です。その人が集合住宅に住んでいる場合、ペット可の物件かどうかも確認しなくてはなりません。

 離れていても家族や親戚がいる人は、まずはそのなかから最適と思う人に打診してみましょう。頼みたいことがあると伝え、直接会ってお願いします。大切な話ですから、会って話すのが一番です。第一候補の人に断られたら第二候補、というふうに順番に打診してみましょう。

 猫を飼っている友人どうしで「万一のことがあったら、互いの猫を引き取る」という約束を交わしてもよいでしょう。猫の飼育経験があるので安心できますし、猫を大切に思う気持ちも理解してくれるはずです。万一、お互いの猫どうしの相性が悪かった場合、別々の部屋で飼うことができるかも確認してください。

「親戚とは縁遠いし友人も皆、高齢で頼める人がいない」ということもあるでしょう。そういう場合は老猫ホームや、猫の保護相談に乗ってくれる動物愛護団体を探しましょう。こうした施設は全国にあります。ただ、もちろんどこでもいいわけではありません。のちほど選び方のポイントをお伝えします。あなたが「ここなら安心」と思えるところを見つけてください。

【こんな人に愛猫を託したい】
・猫好き
・猫の飼育経験がある
・猫アレルギーなし
・健康に問題がない
・下の世代の人
・ペット可の住宅に住んでいる
・あなたの猫を知っている
・約束を守れる、信頼できる人

猫を託す相手を「人任せ」で決めない

 親族がたくさんいる人は「だれでもいいから、親族内で話し合って猫の面倒を見る人を決めてほしい」と思うかもしれません。しかし、この方法はおすすめしません。親族会議が猫の押しつけ合いの場になるなど揉め事の原因になりかねませんし、「傍観者効果」でなかなか決まらないというデメリットもあります。「傍観者効果」とは、複数の人がいることによって「自分がやらなくてもだれかがやってくれるだろう」という心理が働くこと。

 助けを必要とする人がいるとき、そばに自分しかいなければ人は積極的に助けますが、まわりに自分以外の人がいると「だれかが助けるだろう」と、積極さが失われるという現象が起こるのです。あなたの大切な猫を託すのですから、適任者と思う人と一対一で話し合ったほうが相手が引き受けてくれる確率が高まります。

著者 富田園子(とみた そのこ)
日本動物科学研究所会員。著書に『猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)、執筆に『ねこほん』(西東社)、『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『猫と一緒に生き残る防災BOOK』をはじめとした大人気「ペット防災」シリーズ(日東書院)ほか多数。飼い猫7匹。

イラスト はしもとみお
三重県の古い倉庫にアトリエを構える木彫り彫刻家、絵本作家。全国各地の美術館で個展を開催。著書に『おもいででいっぱいになったら』(KISSA BOOKS)、『はしもとみお 猫を彫る』(辰巳出版)など。

監修 磨田薫(とぎた かおる)
ペットのための生前対策専門行政書士として「行政書士かおる法務事務所」を開業。里親募集型保護猫×古民家カフェCafe Gatto総支配人。一般社団法人ファミリーアニマル支援協会(FASA)代表理事。ペット信託や生前対策の普及を行っている。動物看護師、愛玩動物飼養管理士、トリマーの経験ももつ。

辰巳出版
2025年2月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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