「老猫ホーム」に200万円は高い? 自分の死後「ペットに残すお金」はいくら必要か “人任せ”はNG

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愛猫にいくら残せばいい? 試しに1ヶ月にかかる費用を計算しよう


飼育費用を計算してみて(イラスト・はしもとみお)

 愛猫を託せる人が見つかったら、その人に猫の飼育費用を渡す必要があります。善意で猫を世話してくれる人に飼育費用まで甘えるわけにはいきません。その人の家計を圧迫するわけにはいきませんし、そんな条件で猫を引き受けてくれる人を探すのは難しいことです。とはいえ、いくらくらい渡すのが妥当なのでしょうか。

 ペット保険のアニコム損保による調査(2023年)では、猫1匹にかかる1年間の飼育費は
平均で17 万円ほどだそうです。ひと月に1万4000円ほどです。また、一般社団法人ペットフード協会の調査(2023年)によると、猫1匹にかかるひと月の飼育費は平均8005円、猫1匹を最期まで面倒見たときの総額は平均で149万8728円となっています。

 これらはあくまで参考値ですが、あなたの場合はどれくらいでしょうか。私もそうですが、猫にかかる費用などアバウトにしか把握していない人も多いのではないでしょうか。その場合、試しにひと月だけ、実費の合計を計算してみてはどうでしょう。

 仮にひと月1万円かかっていたとして、猫の平均寿命が16歳弱。いま仮に猫が5歳だとすると、あと11年弱生きる計算になります。すると1万円×12ヶ月×11年で132万円。16歳を超えて長生きするかもしれませんし、ふつう、高齢になるほど医療費がかさむものなので、長生きしたとしても不自由ないだけの金額を残すとすると、150万円ほどは必要と考えられます。

 こうして俯瞰してみると、ペットの飼育にはやはりそれなりのお金がかかるものです。そのためにも、ある程度まとまった貯えはしておきたいものです。

 ちなみに愛猫を老猫ホームに入れるためには200万円以上かかるところがほとんどです。
高額に思えますが、場所代等を考えると決して高い金額ではないのですね。

 その一方、なかには数万円で引き取るという愛護団体もあります。愛護団体は支援者から寄付金を募るのでそれである程度補えるとはいえ、破格の値段です。平均的な生活なら数ヶ月で使い切ってしまうような金額で一生涯面倒を見てくれるというのですから。ただ、こういう安価なところこそよく調べるべきです。安かろう悪かろうでは愛猫が苦しみます。よく調べたうえであなたがその施設の方針に本当に納得できるのなら、そういうところに任せてもよいと思います。重要なのはあなたが納得できること、そして愛猫が辛い目に遭わずに済むことです。安心して任せられる施設のチェック項目はのちほどお伝えします。

 数百万円から数万円まで、猫にかかる費用も本当にピンキリです。どんな場所で過ごしてほしいか、具合が悪くなったときにどの程度の医療を受けさせたいか。最高ランクを望むか最低限の動物福祉が守れる程度でよいのか中程度がいいのか。猫を任せる相手を選ぶにはそこから考える必要があります。

里親探しもナシではないけれど

 愛猫に新しい飼い主(里親)を見つける方法ももちろんあります。その場合は里親さんがその後の飼育費用を出すのでお金の負担は最も少ない方法です。ですが、いつ見つかるかわからない里親さん頼みではセーフティネットになりえません。そのため本書では里親探し以外の方法をお伝えします。

 里親探しをする場合は里親詐欺に注意。大事にするからとペットを引き取ってじつは虐待する人間が世の中にはいます。譲渡する際は飼育環境の確認や身分証の確認が必須です。

 ***

『私が死んだあとも愛する猫を守る本』では、他にも猫のための「遺言書」の書き方や、猫のお世話について詳細に伝える「うちの猫ノート」に書くべき内容など、いざというときのために備えておきたい内容を紹介している。自身が不慮の事態に陥った場合でも、ペットを守れるようにしておくのが飼い主の責任なのだろう。

 前編記事【遺品整理業者に「ペットも処分して」と頼む遺族も…自分が死んだ後も大切なペットを守るために知っておきたい“残念な現状”】では、事前準備がなかった場合に起こりうる残念な現状を同書からお伝えする。

著者 富田園子(とみた そのこ)
日本動物科学研究所会員。著書に『猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)、執筆に『ねこほん』(西東社)、『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『猫と一緒に生き残る防災BOOK』をはじめとした大人気「ペット防災」シリーズ(日東書院)ほか多数。飼い猫7匹。

イラスト はしもとみお
三重県の古い倉庫にアトリエを構える木彫り彫刻家、絵本作家。全国各地の美術館で個展を開催。著書に『おもいででいっぱいになったら』(KISSA BOOKS)、『はしもとみお 猫を彫る』(辰巳出版)など。

監修 磨田薫(とぎた かおる)
ペットのための生前対策専門行政書士として「行政書士かおる法務事務所」を開業。里親募集型保護猫×古民家カフェCafe Gatto総支配人。一般社団法人ファミリーアニマル支援協会(FASA)代表理事。ペット信託や生前対策の普及を行っている。動物看護師、愛玩動物飼養管理士、トリマーの経験ももつ。

辰巳出版
2025年2月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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