新書大賞2位 新史料に基づいた「日ソ戦争」解説本 小泉悠氏も高く評価[新書ベストセラー]

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 3月4日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』が獲得した。
 第2位は『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』、第3位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』となっている。

 2位の『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』は岩手大学准教授で日中露関係史の研究者、麻田雅文さんによる一冊。日ソ戦争は広島に原爆が投下された後、1945年8月8日に突如ソ連が宣戦布告しはじまった第二次世界大戦最後の全面戦争。日本がポツダム宣言を受諾したあとも、ソ連は9月上旬まで侵攻を続け、満州、樺太、北方四島などを支配下においた。同書ではこの戦いを「戦後を見据えた戦い」と解説し、新史料を駆使しながら米国のソ連への参戦要請から各地で起きた戦闘の実態、終戦までの全貌を描いている。24年12月に第28回司馬遼太郎賞を受賞し、25年2月には新書大賞2025で2位にランクインした。

 東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠准教授は同書を《新史料に基づく意欲作》と解説し、同書のなかで展開される《朝鮮半島の占領をめぐる米ソの「競争」という通説に修正を迫るくだりなどは白眉といえよう。今後の学術的議論の基礎となることが大いに期待される。》と高く評価している。

1位『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』成田悠輔[著](文藝春秋)

お金の夢から醒めろ 株価も仮想通貨も過去最高値を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。お金や市場経済はどこへ向かうのか?この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか? 現実とも虚構ともつかない未来像を立ち上げる経済学者・成田悠輔の本領発揮!貯金と投資なんかで夢見てる場合じゃない。凝り固まった思考を叩き割る社会構想の誕生を目撃せよ。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文[著](中央公論新社)

日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)

4位『続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実』吉田裕[著](中央公論新社)

5位『人生の壁』養老孟司[著](新潮社)

6位『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎[著](中央公論新社)

7位『東大生に教える日本史』本郷和人[著](文藝春秋)

8位『日本が心配』養老孟司[著](PHP研究所)

9位『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』NHKスペシャル取材班[著](NHK出版)

10位『論理的思考とは何か』渡邉雅子[著](岩波書店)

〈新書ランキング 3月4日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年3月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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