【最新】「ヨシタケシンスケ展かもしれない」2025年東京会場レポート! 子供も大人もぶら下がれる“つり輪の森”が出現!?

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「つり輪の森」で子供も大人もぶらぶら(C)Shinsuke Yoshitake

 これまで日本各地を巡回し、のべ70万人以上を動員してきた大人気の展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が“たっぷり増量タイプ”となって、3年ぶりに東京へ帰ってきた。

CREATIVE MUSEUM TOKYO(中央区京橋)で3月20日(木・祝)~6月3日(火)まで開催される、ヨシタケシンスケさんの大規模個展の見どころと魅力をお伝えしよう。

圧巻! 7500枚の「メモ帳」でヨシタケシンスケさんの頭の中が覗けそう

 会場に一歩足を踏み入れると、木の香りが漂ってくる。壁や床の多くに木材が用いられており、入場早々リラックスできそうな雰囲気だ。段ボールで作られたちょっとショボい(?)偽物の入り口が展示されているのも、ヨシタケさんらしい。

「ほんとうの会場」の方に進むと、まず出迎えてくれるのが、ヨシタケさんが筑波大学在学中から制作していた「カブリモノシリーズ」だ。頭にかぶったり身につけたりすることで、何かができるようになったり、逆にできなくなったりもする道具をテーマにした立体作品が並ぶ。どこかSFを感じさせる見た目と、ひねりの利いた道具の説明書きには、大人の遊び心もくすぐられそうだ。

 次の展示は「わたしとメモ帳」。ヨシタケさんは、いつもメモ帳を持ち歩き、“私にとって大事なこと”を記録しているのだという。それは、「思いついた時に描いておかないとすぐに忘れてしまうくらい、どうでもいいこと」でもあるそうだ。そんな“鮮度100%”のスケッチが描かれたメモ帳は、なんと7500枚以上にもなるという。昨年までの展示数は約2500枚なので、まさに“たっぷり増量”されていた。


スケッチが描かれた手のひらサイズのメモ帳(C)Shinsuke Yoshitake

うるさい大人にりんごを投げちゃえ! 座るのが怖いトゲトゲなイスも 「遊べる展示」がいっぱい

 さらに進むと、「立体と平面と」のゾーンが広がる。もともと立体物を作る仕事をしていたヨシタケさんこだわりの立体展示物と、平面で表現される絵本の魅力が合わさった空間になっている。

 特に注目したいのは、“遊べる展示”がたっぷり用意されていることだ。

「りんごで うるさいおとなを だまらせよう!」は、“いつまでゲームしてるの?!”とか“みんなにメイワクかけるなよ!”と、うるさい大人の口にりんご形のボールを投げ入れる体験型展示だ。うまく口にりんごが入ると、大人の様子が変わるかも……?

 ほかにも、踏み心地のよい「てんごくのふかふかみち」や、座るのに勇気が必要な「じごくのトゲトゲイス」、新規展示物「あなただけの おまじないづくりコンピューター」など、ヨシタケさんの絵本作品に入り込めるような体験型展示がたくさんある。

 また、デビュー作『りんごかもしれない』をはじめ、『つまんない つまんない』『もう ぬげない』など、約20作もの人気絵本のアイデアスケッチや原画も展示されている。さらに、ヨシタケさん直筆の“黄色いふせんメモ”が至る所に貼られていて、来場者に向けた裏話やこぼれ話、見所などが披露されているので、ふせんを見つけると得した気分になれる。ちなみに、分かりにくい場所に貼られたふせんも多いので、これを探すだけでも楽しめそうだ。


絵本作品とリンクした体験型展示が楽しい(C)Shinsuke Yoshitake

ヨシタケシンスケ
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。2013年に初の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)を出版。これまで『りんごかもしれない』『もう ぬげない』(ブロンズ新社)『りゆうがあります』『なつみはなんにでもなれる』『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所)『あつかったら ぬげばいい』(白泉社)『あんなに あんなに』(ポプラ社) で7度にわたりMOE絵本屋さん大賞第1位に輝く。『りんごかもしれない』で、第61回産経児童出版文化賞美術賞、『つまんない つまんない』(白泉社)の英語版『The Boring Book』で、2019年ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞受賞。

Book Bang編集部
2025年3月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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