言葉は「呪」か「咒」か? 脳にかけられた「まじない」を脳科学者・中野信子が解く[新書ベストセラー]

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 3月18日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』となった。
 第2位は『続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実』、第3位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』となった。

 4位以下で注目は8位にランクインした『咒(まじない)の脳科学』。脳科学者・中野信子さんが言葉の持つ力を「咒(まじない)」と捉え、そのネガティブな側面とポジティブな側面の両方の事例をあげながら、言葉の力の秘密に迫った一冊だ。中野さんは同書のまえがきで同じ「まじない」でも「呪」と書く場合は「恨みや悪意を込めて、相手に害を与えること願う行為やその結果」を指すことが多いとし、相手に対し悪意や害意が前提となる言葉であると説明する。一方、「咒」については《“超自然的な力”を働かせようとする行為を指し、宗教的な儀礼や、呪術的な意味合いが強い」と分析し、《必ずしも害意があるとは限らず、時にはポジティブな願いや想念も含む場合がある》と分類している。そのため同書では「咒」という文字を用い、言葉の持つ様々な力を紐解いていこうとしている。

1位『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』成田悠輔[著](文藝春秋)

お金の夢から醒めろ株価も仮想通貨も過去最高値を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。お金や市場経済はどこへ向かうのか? この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか?現実とも虚構ともつかない未来像を立ち上げる経済学者・成田悠輔の本領発揮!貯金と投資なんかで夢見てる場合じゃない。凝り固まった思考を叩き割る社会構想の誕生を目撃せよ。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実』吉田裕[著](中央公論新社)

先の大戦で230万人の軍人・軍属を喪った日本。死者の6割は戦闘ではなく戦病死による。この大量死の背景には、無理ある軍拡、「正面装備」以外の軽視、下位兵士に犠牲を強いる構造、兵士の生活・衣食住の無視があった。進まない機械化、パン食をめぐる精神論、先進的と言われた海軍の住環境無視……日中戦争の拡大とともに限界が露呈していく。本書は帝国陸海軍の歴史を追い、兵士たちの体験を通し日本軍の本質を描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)

4位『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎[著](中央公論新社)

5位『この国でそれでも生きていく人たちへ』森永卓郎[著]森永康平[著](講談社)

6位『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文[著](中央公論新社)

7位『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』NHKスペシャル取材班[著](NHK出版)

8位『咒(まじない)の脳科学』中野信子[著](講談社)

9位『人生の壁』養老孟司[著](新潮社)

10位『日本が心配』養老孟司[著](PHP研究所)

〈新書ベストセラー 3月18日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年3月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク