【話題の本】『毛糸のズボン』直野祥子著

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■復活した昭和40年代の「トラウマ少女漫画」 なぜか50~60代男性が懐かしんでいる

漫画家の直野祥子さんが昭和46~48年に少女漫画誌『少女フレンド』『なかよし』で発表した作品から14編を収録。いずれも単行本化されておらず、入手困難となっていた。筑摩書房によると、人間心理をえぐるようなサスペンス作品は、当時の読者にトラウマを植え付けたという。

各編では、アイロンの電源を入れたままにしたり、友達と遊んでいたことを黙っていたりといった、少年少女の誰もが犯しそうな過ちが恐ろしい悲劇を招く。主人公の不安がじわじわと高まる様子の描写が怖い。元原稿が平成7年の阪神大震災で失われており、本書は掲載誌から起こしたもの。このため掲載時のあおり文句も読むことができ、子供たちがどう受け止めたかが伝わってくる。

2月10日の発売から2カ月で4刷計1万5000部と好調だ。同社によると、主な購買層は50代男女と60代男性で、懐かしんで読む人が多い。

少女漫画にもかかわらず、なぜ男性が多いのか。同社内の当該世代の意見では、当時は男性が姉妹やいとこの雑誌を読むのが普通だったため、と考えられるそうだ。言われてみれば、昭和40年代は今より子供の数が多く、近所づきあいが盛ん。その一方、娯楽がかぎられ、ゲーム機はなかった。(ちくま文庫・1100円)

寺田理恵

産経新聞
2025年4月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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