【話題の本】『月とアマリリス』町田そのこ著 圧倒的な熱量注ぐ

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東京で週刊誌記者をしていたみちるは、ある事件をきっかけに記者をやめ、故郷の北九州市に帰る。10カ月後、元上司で編集者の堂本から同市内の山中で発見された身元不明の白骨遺体の背景を追う取材依頼がくる。みちるは真相を追う中で驚愕(きょうがく)の事実を知る。

本屋大賞受賞作家が挑んだ新境地のサスペンス長編。著者の地元でもある北九州・小倉を舞台に家族や男女の愛憎、孤独、人間の弱さと強さを描く。帯に「圧倒的リーダビリティ」とあるように、読者をぐいぐいと物語に引き込む。

編集担当の加古淑(ひで)さんによれば、経験豊富な女性記者らに取材して著者が刺激を受け、A4判1枚だったプロット(物語の設計図)が原稿用紙100枚にまで膨らんだ。「この物語を書きたいという熱量が最後まで下がらず、書き進められたのが大きい」と加古さん。「立場の弱い人に視線を向けるという町田さんのテーマも今まで以上に描き切り、町田ファンを裏切ることなく、新しい読者層にも広がっている」との感触も。

2月末の発売で、早くも2刷3万8000部。取材を受けた女性記者も「間違いなく私の見たリアル」と言ったという物語。読み始めたら止まらない。(小学館・1870円)

三保谷浩輝

産経新聞
2025年4月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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